期首商品棚卸高とは?期末商品棚卸高との関係や仕訳方法を解説

期首商品棚卸高とは?期末商品棚卸高との関係や仕訳方法を解説

企業の会計期間は、4月1日から翌3月31日までと設定されることが多いでしょう。始まりである4月1日に保有する商品の在庫を、「期首商品棚卸高」と言います。ここでは、期首商品棚卸高の仕訳や売上原価計算との関係、消費税の取り扱いについて解説します。

期首商品棚卸高とは

期首商品棚卸高とは、会計期間のはじめに保有している商品在庫のことです。前期から繰り越された在庫で、今期の売上原価になるものと言えます。

なお、棚卸資産とは、営業収益を目的に保有している資産のことです。お店の棚に並んでいたり、倉庫で保管されていたりする商品をイメージすると理解しやすいでしょう。「商品」は小売業などが販売目的に仕入れたモノのことで、「製品」は自社で生産した販売目的の物品を表します。

期首商品棚卸高の仕訳例

期首商品棚卸高に関連する仕訳は決算期に実施されます。

例:決算期に、前期から繰り越された期首在庫100万円を仕入勘定へ振り替えた。

 借方金額貸方金額
仕入1,000,000商品1,000,000

期首商品棚卸高の振替仕訳は在庫(商品)という資産が減少し、仕入を増加させます。

なお、当期中に仕入れを行った場合の仕訳は下記の通りです。

例:当期に商品を500万円で仕入れた。

 借方金額貸方金額
仕入5,000,000買掛金5,000,000

期中は「商品」という勘定科目を使わず仕入を使用。期首商品を仕入に振り替え、次に解説する期末商品を差し引くことで売上原価を計算します。

期末商品棚卸高との関係

期末商品棚卸高とは、期末時点で保有している商品在庫のことです。こちらも決算期に仕訳を行います。

例:決算期に、期末の在庫200万円を振り替えた。

 借方金額貸方金額
商品2,000,000仕入2,000,000

商品(在庫)という資産が増え、仕入を減少させます。

期首在庫、当期仕入、期末在庫より当期の売上原価を計算します。

売上原価(仕入原価)= 期首商品棚卸高 + 当期仕入高 ― 期末商品棚卸高

上記の例で計算すると、100万円(期首)+500万円(当期仕入)―200万円(期末)より、売上原価は400万円と計算です。

売上原価は損益計算書、期末商品棚卸高は貸借対照表の商品に記載されます。また、期末商品棚卸高は翌期の期首商品棚卸高となり、金額は必ず一致する点も覚えておきましょう。原価計算については、下記記事で詳しく解説しています。

経理プラス:原価計算とは?目的・種類・計算方法・仕訳例などを解説!

期末商品棚卸高と実地棚卸に差異があったら

決算期には在庫の残高を確定するため、実際に現物をカウントする「実地棚卸」を実施します。棚卸の数量を計算する方法は、棚卸計算法と継続記録法の2種類です。棚卸計算法は、期末に実地棚卸を行って期末の在庫数量を確定します。これに対して継続記録法は、商品ごとに受け払いを記録し在庫を管理する方法です。

経理プラス:棚卸しとは?目的や方法、在庫の評価方法について解説

実地棚卸のよくある間違い例

継続記録法は帳簿上で在庫数量を把握できますが、棚卸計算法と同様に実地棚卸を実施します。その際、帳簿在庫と実地棚卸で差異が生じることがあるでしょう。差異の発生要因には、大きく分けて在庫管理上のミスと実地棚卸のカウントミスがあります。カウントミスは再カウントすることで確認しましょう。在庫管理上のミスは複数あり得ますが、代表的な例は下記の通りです。

商品名、コードの間違い

入庫や出庫の際に、間違った商品名やコードを入力することによって発生します。ある商品がプラスで別の商品が同数のマイナスである場合は、入り繰りが発生していないか確認を行いましょう。

入出庫の入力漏れ

入出庫時に入力が漏れている場合に発生します。帳簿よりも実際の在庫数量が多ければ入庫の入力漏れ、反対であれば出庫の入力漏れの可能性が高いでしょう。納品書や請求書の控えと照らし合わせて確認します。

帳簿反映への時間差

現物の払い出しは行ったものの、帳簿や在庫システムへの入力がまだの場合には帳簿と現物の在庫が合わなくなります。

盗難、横領

差異が生じた原因が特定できない場合は、盗難や横領の可能性を疑います。施錠の徹底、監視カメラなどの対策が必要でしょう。

棚卸減耗費で修正する方法

継続的に記録された帳簿残高と、実地棚卸により把握した在庫残高に差が生じた場合は、帳簿残高を実際の残高に合わせることが必要です。この修正する差額のことを、棚卸減耗費と呼びます。なお、棚卸減耗費の計算方法は下記の通りです。

売棚卸減耗費 = (帳簿棚卸数量 ― 実地棚卸在庫数量)× 在庫単価

例えば帳簿数量が50個、実地棚卸数量が40個、単価100円の場合は(50―40)×100となり、棚卸減耗費は1,000円となります。

仕訳は棚卸減耗費(費用)を計上し、商品(資産)を減少させます。

 借方金額貸方金額
棚卸減耗費1,000商品1,000

通常は、税務上も損金として認められます。ただし、棚卸減耗費が多額に発生したり発生原因が特定できなかったりした場合は、税務調査等で否認されることがありますので注意しましょう。

商品評価損で修正する方法

期首商品棚卸高や期末商品棚卸高は、取得価額で計上することが原則です。しかし、商品の販売価額(時価、正味売却価額)が帳簿価額よりも下回っている場合は、時価により評価しなければなりません。商品の取得価額よりも販売価額の方が下回るケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 季節商品の売れ残り、流行遅れ
  • 長期保管等による商品の品質劣化、破損
  • 過剰生産による需給バランスの変化 など

このような価値の減少が発生した場合は、期末に商品評価損の勘定を用いて費用計上を行います。

 借方金額貸方金額
商品評価損***商品***

消費税区分

商品の仕入で係る消費税は、仕入れた会計年度に計上し、当期の売上に係る消費税から控除します。消費税法上、期首商品や期末商品といった繰越商品は不課税取引となり、消費税の対象外です。消費税は、仕入れた会計年度で仕入税額控除が行われていると理解しましょう。

会計上は費用収益対応の原則に従って、商品が販売された時点で費用計上されます。消費税の扱いとは異なりますので注意しましょう。なお、2023年10月1日よりインボイス制度が開始となり、消費税の仕入税額控除には適格請求書(インボイス)が必要となります。影響の大きな制度改正であり、詳細は下記を参照ください。

経理プラス:インボイス制度とは?2023年導入までに企業が対応すべきこととは?

まとめ

期首商品棚卸高について、仕訳例や実地棚卸との関連などを解説しました。期首商品棚卸高は、損益計算書の売上原価を算出するために必要な項目です。在庫と原価の関係を理解し、正しく処理できるようになりましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

著 者 柴藤 唯人

大手製造業(鉄鋼メーカー)の経理財務担当として勤務。財務系は固定資産管理、棚卸資産管理、一般会計を担当。また、原価系は原価計算、月次、半期予算、中期計画、コスト分析、損益分析を経験する。管理職昇進後は会計実務からは離れて、公認会計士対応や内部統制、原価は全体のコスト総括や損益総括を担当。工場だけではなく営業へも情報を提供するなど、販売戦略にもかかわる。日商簿記1・2級保有。