あいまいな貸倒損失の適用要件と処理方法について

あいまいな貸倒損失の適用要件と処理方法について

取引先の多い企業では、商品やサービスの売上債権の回収がうまくいかずに、売掛金や受取手形として残ったままというケースも多く見られます。そのような回収の見込みがない債権については、貸倒損失の処理を行う必要があります。今回は、貸倒損失の適用条件や経理処理の仕方を紹介していきます。

どうして貸倒損失を計上するのか

貸倒損失とは、売掛金や受取手形などの売上債権や貸付金などの債権について、回収不能となった際に計上される費用勘定のことを言います。
貸倒損失を計上することの意味について具体的に考えていきましょう。

例えば、A社に対する100万円の売掛金について、回収不能である状態になったとします。そのまま何も処理しない場合だと、いつまで経っても売掛金の100万円は残り続けますね。つまり、本来は資産として価値のない売掛金の100万円が、貸借対照表の資産に計上されていることになります。これは企業の状態を正確に表した貸借対照表であると言えるでしょうか。

また、このケースにおいては、企業の損失についてもいつまでも計上されないままでいる状態にも問題があります。
会社の状態や活動を正確に表した財務諸表を作成するためには、貸倒損失を正しく計上する必要があります。

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貸倒損失の税務上の適用要件について

貸倒損失については、適用する要件が決まっています。貸倒損失の計上要件をケースごとに確認していきましょう。

債権が切り捨てについて、貸倒損失の計上が認められるケース

  1. 法律により決定された債権
    具体的には、
     ・会社更生法等の規定による更生計画に対する認可が決定された債権
     ・民事再生法の規定によるもの再生計画に対する認可が決定された債権
     ・会社法の規定による特別清算についての協定が認可された債権
    これらの債権については、貸倒損失の計上が認められます。
  2. 協議などにより切り捨てが行われる債権
    具体的には、
     ・法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定合理的な基準に
      よって切り捨てられた金額
     ・行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられた金額
    については、貸倒損失の計上が認められます。
  3. 書面で債務免除額を明らかにした債権
    債務者に対して、債務免除額を明らかにした債権については貸倒損失を計上することが認められます。ただし、債務の弁済を受けることができないことが明らかであり、一定期間(一般的に3~5年程度)債務が超過している状態が継続している状態でなければいけません。

債権の全額が回収不能となった際に、貸倒損失の計上が認められるケース

債務者の資産状況や支払能力等から総合的に見て、債権が回収不能と判断された場合は、その債権については貸倒損失を計上することが可能です。ただし、債務者に担保物がある時は、その担保物を処分した後に貸倒損失として計上することになります。

一定期間の取引停止後に弁済がない場合に貸倒損失の計上が認められるケース

    1. 継続取引を行っていた債務者について、資産状況・支払能力等が悪化したため取引停止し、
      その後1年以上経過した場合
    2. 同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合
      簡単に説明すると、支払いを求めても弁済がない売上債権のうち、債権額よりも回収するための費用が多くなる債権については、貸倒損失への計上を認めるということです。

これらの要件に当てはまらない状態で、貸倒損失を計上した場合には、税務上の問題が生じます。貸し倒れ損失ではなく寄付金の扱いとなるケースがあり、その計上額については損金算入ができなくなる可能性があるのです。貸倒損失の計上する際には、必ず上記の要件を満たしているのかを確認しましょう。

貸倒損失の経理処理について

貸倒損失の経理処理については、「貸倒損失」の勘定科目を使用して、貸倒損失が発生した事業年度の損失として処理します。相手科目については、その貸倒れた債権を減少させる処理を行います。

上記のA社の例では、

 (貸倒損失)1,000,000(売掛金)1,000,000

という経理処理になります。

回収不能となった債権が、売上債権である場合は、貸倒損失を販売費及び一般管理費に表示します。一方で、回収不能となった債権が貸付金などである場合には、貸倒損失を営業外費用として表示します。これらの表示方法についても注意しておく必要がありますね。

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この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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経理プラス編集部

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