レンタカー代の勘定科目と仕訳例|ガソリン代、保険料はどうなる?
レンタカーを借りた際、どの勘定科目を使えばよいか迷う経理担当者は少なくありません。レンタカーの利用目的は毎回同じとは限りません。さらに、旅費交通費や車両費、賃借料など複数の勘定科目に該当するため、会社によって使う勘定科目が違う点も、混乱する一因です。
この記事では、勘定科目の選び方のポイントや仕訳例、ガソリン代や保険料など周辺費用の扱い方まで解説します。法人に限らず個人事業主でも考え方は同じです。レンタカーを利用する方は、ぜひ最後までご覧下さい。
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レンタカー代の勘定科目は?
出張など仕事でレンタカーを利用した場合は経費計上できます。レンタカー代で使われる勘定科目は、主に以下の3つです。
- 旅費交通費
- 車両費
- 賃借料
法的な規則はないので、どれを使うかは基本的に自由です。そのため、レンタカーの利用目的や頻度によって、適宜使い分けることもできます。
それぞれの勘定科目について詳しく見てみましょう。
旅費交通費
業務目的の出張でレンタカーを借りた場合は、「旅費交通費」を使うのが一般的です。旅費交通費は、出張や営業活動での移動で生じた旅費・交通費を計上する勘定科目になります。
そのため旅費交通費には、出張・営業活動によるレンタカー代のほか、宿泊費や日当などもまとめて計上可能です。なお、社員旅行でレンタカーを借りた場合は、業務目的ではないので、「福利厚生費」にする方法もあります。
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車両費
物品を配送する事業など、車を常に使う事業では「車両費」を使うことがあります。車両費は、自動車の保守や使用に関わる費用を計上する勘定科目です。車両関連の費用を一元管理したい場合には、車両費を使うと良いでしょう。
さらに、配送活動のレンタカー代は車両費、営業活動のレンタカー代は旅費交通費、と分けておくと、事業活動ごとの予算管理がスムーズになります。
貸借料
レンタカーをマンスリー契約(短期~中期)して社用車として利用する場合には、「賃借料」または「リース料」が使われることもあります。賃借料は、土地建物や機械を借りる費用を管理する勘定科目です。
継続契約するレンタカー代には賃借料を使うことで、出張などでの単発的利用と区別して管理しやすくなります。
レンタカー代の仕訳例
レンタカーを借りた際の仕訳の例を紹介します。なお、勘定科目は「旅費交通費」を例にしていますので、使う勘定科目が車両費や賃借料の場合は、適宜読み替えてください。
支払い方法が現金の場合とクレジットカードの場合、それぞれ解説します。
レンタカーを現金で借りた際の仕訳例
例としてレンタカー代5,000円を現金で支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
なお、免責補償やNOC補償(ノン・オペレーション・チャージ)などのオプション料もこの仕訳に含めて計上できます。
レンタカーをクレジットカードで借りた際の仕訳例
クレジットカードで借りた場合は、仕訳が2回生じますので注意が必要です。
クレジットカードで支払いをした場合
支払い時にクレジットカードを利用した場合は、レンタカー利用日に費用と未払金を計上します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 5,000円 | 未払金 | 5,000円 |
クレジットカードの利用料金が口座から引き落とされた場合
後日、クレジットカードの利用料金が口座引き落としされた際に、未払金と預金の消込仕訳を計上します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
未払金 | 5,000円 | 普通預金 | 5,000円 |
なお、支払いを分割払いやリボ払いにして手数料が生じた場合は、「支払手数料」に計上するのが一般的です。
レンタカー利用時のガソリン代、保険料、高速代の仕訳例
レンタカーを借りた際には、レンタカー代のほかにガソリン代、保険料、高速代などが別途発生する場合があります。
これらの費用についても、それぞれ仕訳例を解説します。
レンタカー利用時のガソリン代の仕訳例
ガソリン代の勘定科目についても会社の方針で自由に決められます。
「旅費交通費」「車両費」のほか、「車両関係費」「燃料費」「消耗品費」などでも計上可能です。
- 車両関係費:ガソリン代や車検費用、修理代、自動車税など、車両運搬具を維持・使用するための費用
- 燃料費:ガソリンのほか、軽油、重油、オイル、灯油など車両以外でも使用する燃料も含まれる
- 消耗品費:取得費用が10万円未満のものに幅広く使用できる
ここでは「旅費交通費」を使い、現金で支払った場合の仕訳例で解説します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
なお、クレジットカードを利用した場合は、先述のとおり、利用時と口座引き落とし時の2度、仕訳が必要です。
レンタカー利用時の保険料の仕訳例
レンタカーには基本的な保険がついていますが、会社によっては追加で自動車保険を契約する場合があります。
なお、レンタカー代には消費税が課税されますが、保険料は非課税です。そのため、課税・非課税の選択誤りを防ぐため、自動車保険料はレンタカー代と別にすることをおすすめします。
以下は「保険料」という勘定科目での仕訳例です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
保険料 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
レンタカー利用時の高速代の仕訳例
レンタル中に高速道路を利用した場合も、レンタカー代やガソリン代同様、任意の勘定科目で計上できます。
以下は「旅費交通費」での仕訳例です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
ETCを使った場合は、先述のクレジットカードを利用した場合と同様に、利用時と口座引き落とし時の2度、仕訳が必要です。
なおETCには領収書がありませんので、代わりに「ETC利用明細書」を証憑とします。
まとめ
当記事ではレンタカー代の勘定科目や仕訳例について解説しました。レンタカー代の勘定科目は自由に決められる分だけ、かえって勘定科目選びに迷ってしまうことがあります。
そのため、事業内容や用途に応じた勘定科目をあらかじめルールとして決めて、毎回迷わないで済むようにしましょう。顧問税理士がいる場合は、相談してみるのもおすすめです。またレンタカー代は従業員が経費精算で申請してくることもあります。レンタカー代や保険料の選び方をわかりやすく示して、スムーズに精算業務が回るようにしましょう。
レンタカー代の勘定科目と会計処理に関するQ&A
以下では、レンタカー代の会計処理について、よくある質問について回答します。
Q1. レンタカー代を経費計上できないケースは?
レンタカーを仕事以外のプライベート目的で利用した場合は、経費として費用計上できないので注意しましょう。
プライベートで発生した費用は、事業との関係性がないためです。
事情により仕事とプライベートにまたがってレンタカーを借りる場合は、按分計算する必要があります。そのため業務日報や移動記録を残し、業務で使用した分がわかるようにしましょう。レンタカー代金を「時間」や「距離」を基準に按分することで、仕事上の利用分だけを経費計上します。
なお、レンタカーを利用した際は、領収書(利用明細)を必ず保管してください。領収書には利用日や場所、レンタカーの会社名や車種など、会計帳簿の根拠情報が記載されているためです。
Q2. レンタカーではなくリース車の場合の勘定科目は?
レンタルではなくリース契約のケースでも、勘定科目は自由に選択できます。
なお、レンタルは短期利用を想定した契約であるのに対し、リースは購入する代わりとして、長期契約にする時に用いられる契約です。
そのため、旅費交通費を用いることは希で、車両費や賃借料、リース料を用いるケースが多いでしょう。
Q3. 事務所の引越しなどで利用したレンタカーの勘定科目は?
事業所の引越しなどで、トラックや作業車を借りる事例でも、通常のレンタカーと同じ勘定科目で問題ありません。
ただし、事業所の引越し費は、通常の費用とは性質が異なる臨時・単発的な費用です。もし費用が巨額で営業利益が大きく乱れてしまうようなら、営業外費用に計上する方法も考えられます。
Q4. レンタカーの免責補償にかかる費用の勘定科目は?
事故時の修理代などの免責額(数万円~十数万円)を、負担せずに済ませるためのオプションを「免責補償」と言います。
また、修理代以外にもレンタカー業者から休業補償として「ノンオペレーションチャージ(NOC)」が請求されます(数万円)。このNOCも負担せずに済むようにするのが「NOC補償」です。
「免責補償」も「NOC補償」も、事故時の負担額をゼロにするためのオプションです(1日あたり数千円)。
補償料は損害保険料とは異なり、サービス料なので消費税もかかります。そのため、レンタカー代に合算して計上して構いません。
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。