ヘッジ対象、ヘッジ手段ってなに?複雑なヘッジ会計を解説!

ヘッジ対象、ヘッジ手段ってなに?複雑なヘッジ会計を解説!

国際的な取引が活発になり、ヘッジ会計についての処理を求められるケースが多くなってきました。しかし、ヘッジ会計については、そもそもの概念が掴みにくく実際に処理する際に戸惑ってしまうことも多いです。今回は、事例を挙げながらヘッジ会計とはなにかについて説明していきたいと思います。

ヘッジ会計が適用される取引とは?

ヘッジ会計が適用される取引とは、どんな取引でしょうか。早速ですが、事例をみていきましょう。

1年後に小麦100kgを100万円で仕入れたい企業Aがあります。しかし、仕入れは、1年後です。今は100kgが100万円の小麦ですが、1年後には、小麦の価格は100kgが150万円になっているかもしれません。
そこで、その小麦の値上がりによって損失となるリスクを回避する(リスクヘッジ)方法が必要ですね。
A社は、リスクヘッジの手段として米の先物取引を行うことにしました。米100kgを1年後に90万円で購入するという内容のものです。

では、もし穀物の値段が

  • 小麦の価格が150万円
  • 米の価格が130万円

に上昇した場合はどうなるでしょうか。

まず、米の先物取引をしていたので、企業Aは90万円で購入できるその米を130万円で売却しました。

ここで、企業Aは、

 130万円—90万円=40万円

の利益がでます。

そして、小麦の取引については、当初は100万円で仕入れる予定でしたので、

 150万円—100万円=50万円

の損失がでます。

しかし、米の先物取引を行っていたので、その取引の利益分も含めると

 —50万円+40万円=—10万円

つまり、10万円の損失で済むことになります。

このように、小麦の値段が上がってしまっても、その損失分を、米の先物取引の利益分で軽減する
ことで損失のリスクを回避しました。

ヘッジ対象やヘッジ手段とは?

上記の例でいくと、

  • A社が小麦を購入すること →「ヘッジ対象」(リスクを負う資産・負債のこと)
  • 米の先物取引を行うこと → 「ヘッジ手段」(リスクを軽減する手段のこと)

と言います。

結局、ヘッジ会計って何なの?

では、この取引をどのように会計処理をするべきなのかを考えてみましょう。

米の先物取引の損益は、どのタイミングで認識されるべきでしょうか。ヘッジ対象である小麦を購入したときですよね。しかし、会計期間をまたぐ場合はどうでしょうか。これも具体例で見ていきましょう。

A社(決算日:3月31日)の取引について

 

  1. H.26 10.1(第一期)
     その1年後に小麦を100kg100万円で購入したいと考え、
     ヘッジ手段として米の先物取引を行う。
     米100kgを90万円で買建てた。
  2. H.27 3.31 (第一期決算)
     決算日における米の先物の時価相場は、100kg130万円であった。
  3. H.27 9.30(第二期)
     小麦を100kg150万円で購入する。
     米の先物取引については、先物の時価が100kg130万円であったため、
     反対売買の差金決済を行った。

このような取引の場合に、会計的にどのように処理すれば良いのでしょうか。

1の時点では、特に処理する必要はありません。
問題は、2の期末時点の処理です。本来ならば期末時に時価評価するため、

 130万円—90万円=40万円

の利益を第一期に計上する必要があります。しかし、先物取引の損益については、小麦の購入を行う第二期に計上するべきですよね。ですから、第一期の期末時点では、この先物取引の損益を繰り延べます。
そして、3の時点で、小麦の購入の処理を行うとともに、2で繰り延べた先物取引の損益を計上します。
このように、ヘッジ対象の損益(小麦の取引の損益)と、ヘッジ手段の損益(米の取引の損益)を同一の会計期間で認識して、ヘッジの効果を会計的に反映させる処理をヘッジ会計と言います。

最後に

ヘッジ会計について、具体的な事例を使って紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。実際にヘッジ会計を適用する場合については、しっかりと検討すべきことも多くあります。たとえば、今回は、小麦というヘッジ対象に対して米の先物取引というヘッジ手段を用いました。しかし、小麦の価格が高騰した場合に、本当に米の価格も上がるのでしょうか。そこに関係性がなければ、ヘッジ取引とは認められませんよね。このように、ヘッジ会計を適用するには、それ以前にヘッジ取引であるのかの確認も必要になることも念頭に置いておいたほうが良いですね。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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著 者 経理プラス編集部

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