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立替金請求書の無料エクセルテンプレート|インボイス制度との関係も解説

立替金請求書(立替金精算書)とは、取引先が本来負担すべき経費を一時的に代わりに支払った際に発行する書類を指します。記載する項目は、発行日・支払内容・振込口座情報・支払期日などです。

本記事では、立替金請求書の書き方や手軽に作成するための無料エクセルテンプレートを紹介します。

立替金請求書の無料エクセルテンプレート

立替金請求書は、取引先の経費を代わりに支払った際に、発行しなければならない書類です。そこで、初めての方でも簡単に作成できるエクセル形式の無料テンプレートをご用意しました。このテンプレートには、インボイス制度上記載が必要な項目も網羅しており、仕入税額控除にも対応できます。

個人・法人を問わず利用できるため、ご活用ください。

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立替金請求書とは

立替金請求書とは、主に取引先の代わりに経費を支払った際に作成する請求書のことです。立替金経費依頼書や立替金精算書などと呼ばれることもあります。

そもそも立替金とは、取引先や従業員などが本来支払うべき金額を自社で立て替えた際に計上する勘定科目です。金額がはっきりした時点で計上する点が仮払金と異なる点、期日が指定されていない点が貸付金と異なる点として挙げられます。

なお、従業員と自社間における立替金のやり取りには、「立替金経費精算書」を標題にした書類が使われることが一般的です。

立替金請求書を作成するタイミング

取引先に頼まれて物品を代わりに購入したタイミングで、立替金請求書を作成することがあります。

自社で負担した額を確実に取引先から回収するためには、立替金請求書の作成が必要です。ただし、作成する時点において金額がはっきりしていなければなりません。

なお、同じ相手に対して何度も立替金が発生する場合は、都度立替金請求書を発行せずに特定の時期に1枚にまとめて発行する方が効率的です。頻繁に発生するケースでは、取引先にあらかじめ発行方法について相談しておきましょう。

インボイス制度における立替金精算書のポイント

インボイス制度とは、2023年10月1日より始まった仕入税額控除の方式を指します。事業者が消費税を正確に納付するため、消費税の金額などを記載した請求書・領収書(インボイス)に基づき税額を計算する点が特徴です。

インボイス制度では、取引先や従業員が本来支払うはずの額を自社で立て替える際に作成する書類を「立替金精算書」と呼びます。インボイス制度における立替金精算書に関するポイントは、主に以下のとおりです。

  • 要件を満たすか確認する
  • 適格請求書発行事業者であるか確認する
  • 原則としてインボイスの原本を添付する

ここから、各ポイントについて解説します。

参考:国税庁「インボイス制度について」

要件を満たすか確認する

取引先の経費を立て替える際は、インボイス制度における要件を満たしているか確認しましょう。取引先(経費を立て替える相手)が対象の経費について仕入税額控除を受けるためには、原則として法定の記載項目が書かれた立替金精算書が必要です。

インボイス制度上、立替金精算書には以下の項目を記載します。

  • 宛先(取引先)
  • 発行者情報(立て替えた事業者)
  • 支払先(仕入先)情報・登録番号
  • 支払日
  • 支払内容
  • 税率
  • 支払金額
  • 税額
  • 軽減税率
  • 合計(支払金額・税額)

取引先が仕入税額控除を適用できるように、作成する際は各項目の記載漏れがないことを確認しましょう。

適格請求書発行事業者であるか確認する

取引先に代わって物品を購入する際に、仕入先が適格請求書発行事業者に該当するか確認することも重要です。適格請求書発行事業者とは、インボイス制度において税務署からインボイスを発行することの承認を得た事業者を指します。

適格請求書発行事業者からの仕入れでなければ、取引先は原則として仕入税額控除を適用できません。一方、仕入先が適格請求書発行事業者であれば、自社(立て替えする事業者)が適格請求書発行事業者でなくても取引先はインボイスと立替請求書に基づき仕入税額控除できます。

なお、仕入先が簡易適格請求書(簡易インボイス)を発行している場合は、自社で立替金精算書を発行する必要がありません。簡易インボイスとは、スーパーマーケットのレシートのように、書類の交付を受ける事業者の氏名・名称が不要の書類のことです。

原則としてインボイスの原本を添付する

取引先の代わりに物品を購入した際に、原則として自社で発行する立替金請求書に加えて仕入先から受け取ったインボイスの原本も交付しなければなりません。ただし、仕入先や取引先(経費を負担する事業者)が大量でコピーを取るなどの作業が困難な場合、インボイスを自社で保存して、立替金精算書のみを取引先に交付する方法が認められることがあります。

立替金精算書のみを取引先に交付する際は、インボイス制度上の要件について記載漏れがないよう注意しましょう。

立替金請求書に記載する主な項目

立替金請求書(立替金精算書)に記載する主な項目は、以下のとおりです。

  • 発行日・発行者情報や取引先情報
  • 支払内容
  • 振込口座情報
  • 請求金額・支払期日

それぞれ解説します。

発行日・発行者情報や取引先情報

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立替金請求書の上部に、発行日・発行者情報・取引先情報を記載します。

標題(立替金請求書)の右下に発行日を記載し、その下に発行者の名称や住所、電話番号を記載することが一般的です。取引先の名称(宛先)は、標題の左下に記載しましょう。

なお、発行者情報にあたる箇所に社判を押印しておけば、正式な文書であることが取引先にも伝わります。

支払内容

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立替金請求書には、取引先に伝わるようにどのような項目を立て替えたのか分かりやすく記載します。インボイス制度の要件を満たすために、支払先(仕入先)の名称や登録番号・支払日・支払内容を漏らさず記載しましょう。

登録番号とは、適格請求書発行事業者に対して発行されている番号です。仕入先が発行するインボイスや適格請求書発行事業者公表サイトなどで、登録番号を確認できます。

また、立替金請求書には各支払に対する消費税率の記載も必要です。「酒類・外食を除く飲食料品」や「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」は軽減税率の8%、それ以外は基本的に10%の消費税率を記載します。

振込口座情報

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支払内容の下には、振込先情報を記載します。銀行名・支店名・預金種目・口座番号・口座名義を正確に記載しましょう。

口座名義は、カタカナで記載することがポイントです。振込先情報に誤りがあると、立替金の回収が遅れるだけでなく取引先にも迷惑をかけるため、正しい情報を記載しましょう。

なお、振込手数料について取引先に負担してもらう場合は、「恐れ入りますが、振り込み手数料は貴社負担でお願いいたします」などの文言を「備考」に盛り込むことがあります。

請求金額・支払期日

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立替金請求書の中央部分には、請求金額の合計を記載します。支払内容に記載した内訳を合計した額と一致しているか確認したうえで記載しましょう。

また、請求金額の直下に支払期日を記載します。立替金の回収が遅れないように、期日を明記しておくことが大切です。支払期限に決まりはないため、取引先と話し合ったうえで、設定するとよいでしょう。

立替金請求書における消費税の扱い

立替金を請求する際は、原則として消費税分も含めます。ただし、請求書に記載する際は、内税と外税の違いに注意しましょう。

内税は消費税を含めて記されている額、外税は消費税を含めずに記されている額のことです。内税の商品やサービスを立て替えている場合は、支払った額から税抜額を一度計算してから、再度消費税を加えた額を記載しなければなりません。

立替金請求書を発行するにあたって押さえておくこと

立替金請求書を発行するにあたって、以下の点を押さえておきましょう。

  • 立替金としてみなされない場合がある
  • 回収した立替金は売上に該当しない
  • 取引先に丁寧に説明する

それぞれ解説します。

立替金としてみなされない場合がある

立替金請求書を発行して取引先から立替金分を受け取ったにもかかわらず、税務調査で「立替金」としてみなされないことがある点を押さえておきましょう。

たとえば、立替金請求書を発行してから回収までに時間がかかっていると、「立替金」の代わりに「貸付金」と認識される可能性があります。貸付金に該当する場合、適切な利息を請求していないと取引先に対して予期せぬ税負担がかかることがあるでしょう。

回収した立替金は売上に該当しない

会計処理にあたって、回収した立替金を売上として計上しないことも押さえておきましょう。

立替金は、取引先の経費を立て替えた時点で「借方」に「立替金」として計上します。その後、回収した際には「貸方」に「立替金」を計上する点がポイントです。つまり、立替金を回収した際には売上が増えるのではなく、すでに計上している立替金が減少します。

取引先に丁寧に説明する

立替金請求書を作成する際に、取引先に丁寧に説明することも大切です。

とくに、立替金請求書だけでは、なぜこれだけの額が必要になったのか伝わりにくい場合は、トラブルを避けるために別途説明した方がよいでしょう。取引先に丁寧な印象を与えて今後も良好な関係を続けるために、立替金請求書に送付状を添えることもあります。

まとめ

立替金請求書は、代わりに経費を支払った際、取引先に該当金額を請求するために発行する書類のことです。取引先に立替金を請求する際に本記事で紹介した無料エクセルテンプレートを活用すれば、必要な項目を押さえつつ請求書の作成作業を効率化できます

また、取引先が仕入税額控除を適用する場合は、インボイス制度の要件を満たしていることを確認することが大切です。取引先の経費を立て替えた際は、インボイス制度の概要も押さえたうえで立替金請求書の発行業務を進めましょう。

その他のテンプレート

監修 安田亮

Author Yasuda

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。 大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。 連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。