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商品有高帳の無料テンプレート｜主な記載項目と利用するメリットは？

企業の財務管理や資産管理を効率化するには、商品の仕入価格や在庫の増減を正確に管理することが重要です。しかし、「仕訳管理が煩雑で、リアルタイムで入庫や出庫履歴を追えない」「在庫変動を把握できず、原価計算や決算業務でミスが発生してしまう」などの課題を持つ企業も多いことでしょう。

そんな課題の解決に役立つのが、在庫管理や損益計算の効率化に役立つ「商品有高帳」です。本記事では、基本的な商品有高帳の役割や記載項目について解説するほか、便利な無料エクセルテンプレートを紹介します。具体的な記入方法も解説しますので、記入例を参考にしながら、商品別の入出庫管理をスムーズに始めましょう。

商品有高帳の無料エクセルテンプレート

商品有高帳は、商品の入庫や出庫を記録し、在庫状況を管理するために欠かせない帳簿です。ここでは無料で利用可能なエクセル形式のテンプレートをご紹介します。個人・法人問わずご利用できますので、ぜひダウンロードしてください。

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商品有高帳の概要

商品有高帳は、在庫の管理を効率的に行うために必要な帳簿であり、経理業務や財務管理において重要な役割を果たします。商品別の仕入や売上の記録を一元管理し、在庫の把握や損益計算を正確に行いたい場合におすすめです。

商品有高帳とは？

会計帳簿の種類の1つである商品有高帳は、在庫を商品別に管理するために必要です。商品の仕入や売上、返品などの取引内容を記録します。

商品有高とは「在庫」のことです。企業や個人の在庫管理を目的として用いられます。この帳簿は補助簿の一種であり、主に以下3つの目的で作成されます。

• リアルタイムな在庫状況の把握
  現時点での在庫量を正確に知るために必要です。
• 適切な損益計算
  収支を正確に算出するため、仕入や売上の履歴を整理します。
• 実地棚卸高の算出
  期末や特定時点の在庫評価を行う際に基礎データを提供します。

商品有高帳の記入方法

商品有高帳を記入する際の方法として、以下の2つを紹介します。いずれの方法を採用するかは、管理する商品の特性や事業のニーズに応じて選択するとよいでしょう。

• 先入先出法
  先に入庫した古い商品から順に出庫すると仮定して記入する方法です。在庫が頻繁に回転する商品や単価が変動しやすい商品に適しています。ただし、仕入時期によって単価が異なる場合、管理が煩雑になるため、注意が必要です。
• 移動平均法
  仕入の都度作成することが特徴で、在庫全体の平均単価を算出して記入します。単価の変動が比較的小さい商品や記録の一貫性を保ちたい場合に適しています。ただし、仕入のたびに単価を計算する必要があり、時間などのコストがかかります。

商品有高帳の主な記載項目

ここでは、商品有高帳に必要な項目、記載すべき情報について具体的に解説します。

記入項目

商品有高帳のサンプルは、上記の画像のような表です。エクセルのテンプレートを使って作成・管理すれば、日々の経理業務が効率的になります。

日付

入庫や出庫が行われた日付を正確に記入します。日付を残すことで、在庫の変動履歴を追跡することが可能となり、損益計算や棚卸作業を効率化できます。

摘要

取引内容や目的を明確に記載します。例えば、「仕入」「返品」など具体的な情報を記載すれば、あとから内容確認がしやすくなります。

受入

入庫した商品の数量と金額を記入します。受入の正確な記入は、在庫増加の履歴を管理する際に欠かせません。

払出

出庫した商品の数量と金額を記入します。販売や返品、廃棄など、出庫理由をあわせて記入すれば、在庫管理の透明性が向上します。

残高

受入と払出を反映した現在の在庫数量と金額を記入します。リアルタイムで更新すれば、常に正確な在庫状況を把握できます。

記入例（先入先出法）

前述したように、商品有高帳の記入方法には「先入先出法」「移動平均法」の2種類があります。まず、「先入先出法」の記入例から紹介します。

前月繰越から商品の仕入、販売、次月繰越までの記入例

先入先出法を用いる場合の記入例として、前月繰越分から仕入、販売、次月繰越までの流れを表形式で示します。

日付		適用	受入			払出			残高
			数量	単価	金額	数量	単価	金額	数量	単価	金額
4月	1日	前月繰越	200	250	50,000				200	250	50,000
	10日	仕入	150	300	45,000				200	250	50,000
									150	300	45,000
	15日	売上				200	250	50,000
	18日	売上				50	300	15,000	100	300	30,000
	30日	次月繰越				100	300	30,000
		合計	350		95,000	350		95,000

1. 前月繰越
   期首在庫として、数量200個、単価250円、金額50,000円を記載します。
2. 仕入の記入
   仕入があった場合（4月10日）、受入欄に数量150個、単価300円、金額45,000円を記載します。残高欄には、前回の残高に新規仕入を加算した合計を記載します。
3. 売上の記入
   売上が発生した場合（4月15日、18日）、払出欄に数量と、最も古い在庫の単価を記載します。4月15日の売上200個は単価250円で計算し、4月18日の売上50個は単価300円で計算します。
4. 次月繰越
   期末在庫として残った分を記載します。

以上の書き方をマスターすれば、先入先出法による正確な書き方が可能です。

商品の返品があった場合の記入例

商品の返品が発生した場合の記入例は以下のとおりです。

日付		適用	受入			払出			残高
			数量	単価	金額	数量	単価	金額	数量	単価	金額
4月	1日	前月繰越	200	250	50,000				200	250	50,000
	10日	仕入	150	300	45,000				200	250	50,000
									150	300	45,000
	15日	売上				200	250	50,000
	18日	売上				50	300	15,000	100	300	30,000
	20日	返品				△50	300	△15,000	150	300	45,000
	30日	次月繰越				150	300	45,000
		合計	350		95,000	350		95,000

1. 払出欄の記載
   返品は払出欄にマイナス記号（△）をつけて記載します。数量は△50個、単価300円（直近の払出単価）、金額は△15,000円と記載します。
2. 残高欄の計算
   返品により在庫が増加するため、在庫欄の計算をします。数量は100個から150個、単価は300円（変更なし）、金額は30,000円から45,000円になります。

記入例（移動平均法）

次に、もう1つの商品有高帳の記入方法である「移動平均法」について、記入例を紹介します。

前月繰越から商品の仕入、販売、次月繰越までの記入例

移動平均法では、仕入時に単価の平均を計算し、出庫時の単価を適用します。同様に表形式で詳細を記入します。

日付		適用	受入			払出			残高
			数量	単価	金額	数量	単価	金額	数量	単価	金額
4月	1日	前月繰越	200	500	100,000				200	500	100,000
	10日	仕入	300	300	90,000				500	380	190,000
	15日	売上				200	380	76,000	300	380	114,000
	30日	次月繰越				300	380	114,000
		合計	500		190,000	500		190,000

移動平均法では、新規仕入があるたびに平均単価を計算します。

4月1日は、前月繰越 200個×500円＝100,000円を記載します。4月10日は仕入があったため、300個×300円＝90,000円を記載します。仕入後の平均単価は、(100,000円＋90,000円)÷(200個＋300個)＝380円　となり、売上時は、その時点の平均単価で払い出します。

商品の返品があった場合の記入例

商品の返品があった場合の記入例として、以下の表がサンプルとなります。

日付		適用	受入			払出			残高
			数量	単価	金額	数量	単価	金額	数量	単価	金額
4月	1日	前月繰越	200	500	100,000				200	500	100,000
	10日	仕入	300	300	90,000				500	380	190,000
	15日	売上				200	380	76,000	300	380	114,000
	18日	返品				△100	380	△38,000	400	380	152,000
	30日	次月繰越				400	380	152,000
		合計	500		190,000	500		190,000

返品は払出欄にマイナス記号（△）をつけて記載します。返品時の単価は、その時点の平均単価（380円）を使用します。今回の場合、金額は数量×単価で計算します（△100個×380円＝△38,000円）

残高の計算方法は、返品により在庫が増加するため、数量は300個から400個に増加し、単価380円のまま変更はありません。結果、金額は、114,000円から152,000円に増加します。

合計欄の処理は、受入合計の変更は無し、払出合計は、返品分を考慮した純額を記載します。

商品有高帳を利用するメリットと注意点

商品有高帳を利用することで、在庫管理を効率化し、正確な財務情報を得ることが可能です。ただし、利用にはいくつかの注意点があります。ここでは利用時のメリットや注意点について紹介します。

商品有高帳を利用するメリット

商品有高帳の利用には、主に以下のような3つのメリットがあります。

• 現在の在庫状況を把握できる
  商品ごとの入庫や出庫の記録を日々管理することで、現在の在庫数量を正確に把握できます。これにより、不要な仕入や在庫切れの防止が可能です。
• 損益計算が正確に行える
  商品の仕入価格や売上データが詳細に記録されるため、正確な収益分析やコスト管理が実現します。
• 正確な棚卸が可能になる
  商品有高帳のデータをもとに、棚卸業務を効率化できます。これにより、期末決算の精度が向上し、経理業務の負担が軽減されます。

商品有高帳を利用する際の注意点

商品有高帳を正しく運用するためには、次の4点に注意が必要です。

• 材料や原料を記載しない
  商品有高帳は、完成品や販売用商品の在庫管理を目的としています。材料や原料は別の帳簿で管理し、混在を避けることが重要です。
• 仕入販売時は即時記入を徹底する
  商品の仕入や販売ごとに数量と金額を納品書や請求書から記入し、最新の状況を反映させます。これにより、在庫の不一致やミスを防ぐことが可能です。
• 記入金額は仕入原価を基準とする
  商品有高帳に記載する金額は、仕入原価を基準としてください。これにより、損益計算や棚卸評価の整合性が保たれます。
• 返品時も即時記入を徹底する
  返品が発生した際は、すぐに記入して在庫や取引データの不整合を防ぎます。

まとめ

商品有高帳は、在庫管理や損益計算を効率的かつ正確に行うための補助簿です。本記事で紹介したエクセル形式の無料テンプレートを利用すれば、初心者の方でも簡単に在庫管理を始められます。ぜひダウンロードして、経理業務の効率化に役立てましょう。

商品有高帳に関するQ&A

商品有高帳の作成や運用について、よくある質問をまとめました。初心者でも理解しやすい内容で解説しています。疑問解消にお役立てください。