実務に即したRPA導入事例!~導入事例からみる経理の働き方改革~

実務に即したRPA導入事例!~導入事例からみる経理の働き方改革~

なぜ今経理部でRPA導入が必要なのか

労働人口の減少や政府による働き方改革の推進に伴い、RPA化に取り組む企業が急速に増えております。皆様の企業でも、RPA導入を検討している・RPA化に取り組み始めているなんて話もあるのではないでしょうか。経理部においては、月初や月末など業務の繫閑差が激しいうえ、制度改正やIFRS導入の要請など個別業務への対応もあり、他部門に比べても特にRPAに対する期待は高いのではないでしょうか。
とはいえ、専門的な作業が多い経理業務へのRPA導入には様々な課題があるかと思います。今回は、そんな課題をお持ちの皆様にRPA導入に最適な業務の選定方法や実際に工数削減効果のあった事例をご紹介し、経理業務へのRPA適用の一助になればと思います。

RPA導入に向けた業務選定方法

まずは、RPA化する業務をどのように決めていくかをご紹介いたします。
下記の視点と手順にて業務を分析し、導入対象業務を選定していきます。
特に経理業務では、個人に紐づいた業務が多いため、適合性や削減効果を第三者の視点から見極めることが重要です。

(視点)

  1. 適合性
    単純な作業やRPAが得意な作業(コピー&ペースト、データダウンロード、システム入力/転記、マスタ登録、一致確認、単純Excel操作)が業務全体にどれだけ含まれているか
  2. 削減効果
    頻度・関係人数・作業時間の視点から、業務全体でどれだけ時間を要しているか
RPA削減効果

(手順)
①業務時間、業務フローを可視化
②業務の適合性を判断
③削減効果と適合性から総合的にRPA化対象業務を選定

RPA導入事例の紹介

上記の基準で選定された経理業務において、特に効果が得られた事例を3つ取り上げてご紹介いたします。

固定資産取得~台帳登録

(選定の背景)
RPA化前は、業務部門のスタッフが紙の予算申請書、購入申請書、検収報告書を用いて申請を行い、経理部門で申請書の内容をチェック・承認し、会計システムに手入力していました。その申請内容は、誤入力や記入漏れが多く、差し戻しが頻発しており、経理部門でのチェック作業に大幅な時間がかかっていたため、本業務を選定しました。

(導入時のポイント)
RPAがデータを扱やすいように業務フローの変更を実施しました。
紙の申請書からの入力作業はOCR(光学的文字認識)による自動化という手段もありましたが、導入コストと入力精度の観点から、ワークフローシステムに申請フォームを作成し、業務部門で直接入力できる業務フローに変更しました。また、経理のチェックを軽減するために、ワークフロー上に入力制限を設定し、記載内容の正確性向上を図りました。それにより、経理のチェック・承認後、RPAが正しいデータを会計システムに登録できるようにしました。

(導入後の効果)
経理部での申請書からの手入力や承認時の確認作業の大幅な時間削減を実現しました。

台帳登録(図2)

外貨レートマスタ登録

(選定の背景)
1回の外貨レート登録に要する時間は15分であったため、作業時間は決して多くはありませんでしたが、作業頻度が毎日であることに加え、取引先マスタへの登録業務など類似した業務が多くあり、作成したRPAを横展開できる点から本業務を選定しました。

(導入時のポイント)
登録された外貨レートの履歴管理(ログ管理)機能が会計システムにはなかったため、何日時点の外貨レートが登録されたかを確認できるように、履歴管理ができるExcelツールを作成しました。

(導入後の効果)
作業時間の削減はもちろん、会計システムへの誤入力を防げる点も改善効果として得ることができました。

外貨レートマスタ登録

会計システムからの帳票ダウンロード

(選定の背景)
月次決算作業や会計監査など様々な業務で、同様の帳票を複数人が複数回ダウンロードしており、共通的に業務時間の削減を期待できることから、本業務を選定しました。

(導入時のポイント)
RPAを操作できないユーザーでも利用できるように、ダウンロードしたい帳票を選択できるExcelを作成しました。ユーザーは、Excelで残高試算表や総勘定元帳などの帳票種別、指定期間、部門、科目などを選び、RPAがこのExcelからダウンロードする帳票を判断し、指定されたフォルダに格納できるようにしました。

(導入後の効果)
帳票をダウンロードしていた複数ユーザー分だけ工数削減効果を得ることができました。

帳票ダウンロード

経理業務におけるRPA化のポイント

ここまで様々なRPA化事例をご紹介してきましたが、すべての事例において、業務フローやルール、システムの変更などの業務改善が行われています。RPA化することを目的とするのではなく、業務を効率化することを目的として、RPA化に取り組むことが最も重要です。
また「100%の自動化を目指さない」こともポイントとなります。最初から100%のRPAによる自動化を目指すと、業務のどこかに無理がでてきてしまい、導入を諦めるケースは少なくありません。メンテナンス性や開発効率を考えた業務改善を実施し、単純作業を50%削減するだけでも、充分、その他の付加価値の高い業務に時間を使うことができます。

経理部の将来像

市場が多様化・複雑化している昨今、経理部には、人にしかできないM&A対応やグループ経営管理など、より経営やビジネスに近い業務への集中が期待されています。また、次年度以降に控える軽減税率対応、インボイス制度の導入など、対応を免れない業務も発生いたします。そういった来るべき業務の多様化、多忙化に向けて、RPA導入をきっかけに、業務改革(IT導入・電子化など)を推進していただければと思います。

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

著 者 市川 剛志

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グローウィン・パートナーズ株式会社にてコンサルタントとして一部上場企業を中心に財務会計分野のBPR案件を多数経験。その後RPAサービスの立ち上げ、及び導入コンサルティングを担当。現在はRPA研修講師も務める。 / グローウィン・パートナーズ株式会社とは、「プロの経営参謀」としてクライアントを成長(Growth)と成功(win)に導くために、①上場企業のクライアントを中心に設立以来400件以上のM&Aサポート実績を誇るフィナンシャル・アドバイザリー事業、②「会計ナレッジ」・「経理プロセスノウハウ」・「経営分析力」に「ITソリューション」を掛け合わせた業務プロセスコンサルティングを提供するAccounting Tech® Solution事業、③ベンチャーキャピタル事業の3つの事業を展開している。 大手コンサルファーム出身者、上場企業の財務経理経験者、大手監査法人出身の公認会計士を中心としたプロフェッショナル集団であり、多くの実績とノウハウに基づきクライアントの経営課題に挑んでいる。

グローウィン・パートナーズ株式会社HP