企業に利益をもたらす!上手な経費削減を考える上での経理の役割とは?
企業の利益を出すにはどうすれば良いでしょうか。その答えは、「売上を上げる」と「費用を下げる」の二つです。この二つのうち、経理の仕事と密接に関係があるのは後者の「費用を下げる」ことです。という訳で今回は、企業に利益をもたらすため上手な経費の削減を行うために経理ができることは何かを紹介します。
部門比較や期間比較でコストを「見える化」
経費の削減については、いろいろな方法がありますが、やはり根本的には従業員のコストに対する意識を高めることが一番です。
その意識を高めるために経理としてできることは、コストを数字として「見える化」することです。様々な経費を項目ごとに集計して、どこに無駄や問題があるのかを従業員に気づいてもらいましょう。
しかし、ただ数字を集計して示すだけでは、あまり効果はありません。コストの意識を高めるには「比較して見える化」することが重要です。
すなわち、部門ごとや、あるいは前期との経費を比較することで、「どうして他の部門に比べてこの部門だけ旅費交通費が多いのだろう?」「昨年に比べて消耗品費がとても増えている」などのコストに対する気づきが生まれ、それが従業員のコストへの意識に繋がります。
その経費は、本当に削減するべきですか?
では、次はどのような経費の削減のために、従業員のコスト意識を高めるか考えてみましょう。
どの項目にメスを入れるかはもちろん会社によって様々ですが、経費の削減を実行する前にもう一度その経費について「本当に削減すべき経費なのか」確認した方が良いです。というのも、経費を削って逆に会社の利益が少なくなるケースも存在するからです。
たとえば、戦略的経費(広告宣伝費や人件費)を極端に削減してしまうと、売上が下がってしまう恐れがあります。経費を削減できたとしてもそれ以上に売上が下がってしまったら、会社の利益は減ってしまいます。
また、人の数を減らす人件費の削減は、現場での一人あたりの労働量は増加します。その結果として、人材が定着しなくなってしまったなら、人材の採用コストが上がります。一つの項目の経費の削減を行った結果として、違う項目の経費が極端に大きくなってしまったら、トータルでみて効果がないということです。
このような失敗が起こらないように、経理としては
- 売上につながる経費に対してはできる限り削減はしないこと
- 本当にムダな経費を洗い出し、さらにその削減を行えばどんな影響がでるのかをあらかじめ予想する
この二点をしっかり確認し、もし「経費を削減しても利益につながらないのでは?」と思ったならば、企業の数字を扱う経理として疑問の声をあげましょう。
経理事務の仕事の効率化が人件費の節約につながる!?
これまで、経費についての従業員の意識や、どの経費を削減するべきかの決定について確認してきました。では、最後は人件費をテーマにして具体的な経費の削減方法を紹介していきましょう。
経費の中でも、企業にとって特に大きな割合を占めるのが人件費です。では、人件費を削減するために何が必要でしょうか。
人件費の削減というと、真っ先に思い浮かぶことが従業員の数を減らすこと、すなわち「クビにする」です。しかし、それでは従業員の一人あたりの負担が大きくなり、さらに従業員に不安を与えてしまうだけです。正しい人件費の削減の考え方は、最小の人数で最大のパフォーマンスをすることです。意外にも、このことがうまく達成できていない「ムダのある」企業が多いです。
経理部門での人件費を例に具体的に見ていきましょう。経理部門については、決算の時期に極端に業務が多くなります。ですから、決算時期の仕事量を基準にして、経理事務の人数を多めに設定している企業も見られます。
しかし、決算時期以外の通常時期には手が余ってしまっている状態です。それでは、人件費が効率的に使われているとは言えません。もちろん、経理事務だけの話ではなく、繁忙期のある業種であるならどこでも起こりうることですが、このような場合にはどのようにすれば良いでしょうか。
まずは、業務の平準化が可能であるかを検討してください。業務の平準化とは、繁忙期の仕事を平常時期に回すことを言います。たとえば、経理の決算について言えば、毎月月末にきっちりと仕訳などを確認していけば、決算の時に1年分の仕訳を見直す仕事はしなくてすみます。このように、平常時期に繁忙期の負担を減らすことができるかを考えてみてください。
次に、どうしても繁忙期ができてしまう場合は、その時期だけアウトソーシング(外注化)できないのかを検討してください。繁忙期の仕事量を基準に人材を抱える必要はありません。通常時を基準にして人材を雇用し、繁忙期はアウトソーシングによって業務を回せば、最小限の人数で最大のパフォーマンスができるようになります。
現在は、大企業でもクラウドソーシングなどを利用して、積極的に外注するところが増えてきました。
忙しいから人を雇うのではなく、業務の効率化やアウトソーシングを考えてみるのはいかがでしょうか。このようにして、人材を効率的に利用することが人件費における経費削減なのです。ぜひとも、ムダがあると感じるのならば、見直してみてはいかがでしょうか。
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より