デジタルレイバーとは 活用方法やRPAとの違いについて解説
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
デジタルレイバー(仮想知的労働者)とは?
現在、様々な分野でITやAIが著しく進化をしており、それによって我々の生活はかつてないほど便利になってきています。その結果、もともと人間にしかできなかった仕事を機械が行うことが増えてきています。デジタルレイバーとはまさにこのような「機械が人間に代わって業務を担うこと」を指し、その労働力のことを表しているのです。これは日本語で「仮想知的労働者」と呼ばれることがありますが、どちらも同じ意味です。
そして、これと近い意味合いで「RPA」という言葉があります。こちらは「Robotic Process Automation」の略で、主にデスクワークなどの事務仕事をソフトウェア制御によるロボット(実態はなくても、PC内で決められた作業をこなすもの)が行うことを指します。そのため、デジタルレイバーとは完全に同義ではありません。デジタルレイバーの種類の一つとしてRPAが存在するのです。RPAやAIについては下記記事でも解説していますので併せてご覧ください。
経理プラス:RPA、AIとは?経理がおさえておくべき活用方法と事例を解説
近年デジタルレイバーが注目を集める理由と背景
近年なぜこのデジタルレイバーが注目を集めているのでしょうか。主に工場においては、定型化された工程が多いため以前から産業用ロボットが導入され、労働力の一翼を担ってきましたが、事務作業においては定型化されていない処理や判断を迫られることが多く、どうしても人間が行わなくてはならないという背景がありました。しかしながら、そういった事務作業なども自ら学習するAI技術の発達や業務プロセスの定型化によって徐々に機械に任せられるようになってきました。
さらに労働人口の減少や働き方改革による労働時間の短縮化、そしてコロナ禍での在宅勤務の推奨による、現場作業員の減少などもその導入に拍車をかけてきました。多くの現場が背に腹はかえられない状況となり「試しにRPAツールを導入して試行したところ案外うまく行ったので、さらなる導入を決定した」というケースも少なくありません。
デジタルレイバーが得意な分野と苦手な分野
デジタルレイバーは機械なので休憩時間がいらず、24時間稼働させることが可能です。また、業務の処理スピードに関してもプロセスを学習させた定型業務に関しては、人間が行うよりはるかに速く、かつ正確に行えるでしょう。しかし、定型化されていない業務の処理には向きません。
たとえば以下のような業務はデジタルレイバーに任せることで効率が上がると考えられます。
- 単純なチェックや、同様の処理が続くような業務(たとえば、請求データと振り込みの消し込み作業、名刺をスキャンで読み込んでOCRで自動的にテキスト化するような業務)
- 決められたプロセスによる、振り込み処理業務
逆に以下のような業務はデジタルレイバーに任せることが現状ではまだ難しいと言えます。
- 毎回人間が状況を考えて答えを導き出す必要があるような業務(たとえば、コンサルティング業務やデザイン、文章作成などのクリエイティブ業務など)
- それ以外でも毎回手順が違って定型化しにくいような種類の業務
デジタルレイバーに仕事をさせる場合はその手順をあらかじめプログラミングしておき、それが順序通り、かつ正確に行われるかどうかを入念にテストしなければなりません。
万一プログラムした手順や処理内容に誤りがあるまま本番の業務を処理させてしまうと、手戻りや修正に多くの時間が割かれる可能性があります。さらに、たとえばお金の振り込みやメールの送信など外部への情報発信も自動化してしまっている場合は、それらの回収作業や修正処理も人が手で行わなくてはならず、余計な手間がかかることになります。
デジタルレイバーが取り入れられている具体的な事例
現在、デジタルレイバーが取り入れられているのはどのような業務、場面でしょうか。一つの事例として前述の「入金情報の自動消し込み作業」が挙げられます。
従来請求書の金額に従って、顧客からの入金の照合は、人が一つひとつ通帳を参照して行っていました。これをデジタルレイバーが行う場合は、請求データの金額と銀行の入金データを順番に照合し、万一数字が合わない場合はエラーを出すというようなプログラムを書いておくことで、人間が行うのに比べて数十分の一の時間で処理することができるでしょう。
また、コールセンター業務でよく使われている「入電時の顧客情報の自動検索・表示」というのもデジタルレイバーの得意な仕事の一つです。今までは電話を取った人が顧客名を聞いて、それをキーボードで手入力・検索して顧客情報を参照していたものを、入電時に通知される電話番号から自動的にデータベースを検索し顧客情報を画面に表示させるようにすれば、人がやるべき業務を1プロセス減らすことができるのです。
さらに「連続してスキャンした書類をOCRによって自動でテキスト化して保管する」といった業務も、あらかじめ処理内容をプログラムしておくことにより、スキャナーの投入口に処理するべき書類を投げ込んでおけばあとは全て自動で処理され、テキストデータとなったものが所定のフォルダに次々と保存されるところまで自動化が可能です。
もちろんこの後にきちんと全ての枚数がスキャニングならびにテキスト化できているかを人間の目で確認することは必要ですが、それまでのプロセスが完全に自動化できることにより、労働時間がかなり削減できますし、正確に処理することができます。
デジタルレイバーが普及すれば、人はいらなくなるのか
これまで見てきたように、デジタルレイバーはより進化して現在では様々な仕事ができるようになってきました。そうなると「今後さらにデジタルレイバーが普及すれば人間の仕事は機械に奪われてしまうのではないか?」という心配をする方もいると思います。しかしながら、デジタルレイバーがいくら進化して普及が進んでも人間がやるべき仕事が完全に奪われることはないでしょう。
デジタルレイバーの導入によって、機械に任せる仕事と人間がするべき仕事とのすみ分けができるようになってきます。機械には前項で紹介したような仕訳作業や会計ソフトへの転記など、定型化した単純作業を担当させればその分時間が節約できます。人間はそれによって空いた時間で確認作業やより付加価値の高い業務、特に経理では財務分析やさらなる業務効率化の推進など将来につながる業務を行えばより会社を発展させることができますし、むしろそのように業務内容をシフトしていく必要があるでしょう。
まとめ
中小企業においては、まだデジタルレイバーを使いこなしているところはあまり多くないと思います。導入を検討した会社でも、その業務プロセスを学習させたりプログラムさせたりする部分が難しく、時間がかかるため途中で断念した、あるいは、使いこなせずに活用できていないという例も多くあることと思います。また、社内の業務フローが複雑で担当者しか理解していない、当人しか処理できない、といったケースもよくありますが、これらもすぐには定型化しづらく、業務を自動化するための障害となります。
AIやデジタルレイバーは機能的には今後より発展していくものですが、導入を検討する際は「自動化したい業務プロセスを可視化し、最終的に何を実現したいのかというゴールを明確にする」ことが重要です。そして、その際に業務フローを見直し、例外処理をなくしたり平準化したりすることによってデジタルレイバーでも処理できるようなフローに整理してやることが必要です。そうしないと、手順を適切に学習させることができずに、そもそもの自動化ができないためです。
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より