【インタビュー】人気税理士が語る成功企業の法則!会社の成長をもたらすキーパーソンは経理!
経理担当者の皆さんは経営者とどのような関係性を築いていますか。また、勤めている会社から経理担当として何を求めているかを意識されていますか。
本日は、1,000人以上の経営者に会い様々な企業の問題を解決してきた経歴を持つ税理士・冨永英里先生に、企業を成功に導くために求められる経理担当者の姿を伺ってまいりました。
税理士/成功社長支援コンサルタント
26冊の著者。全国講演では参加者を「愛」と「笑い」に包むエンタメ系NO.1講師として名高い。社長コンサルや社員教育などに心理カウンセリングを取り入れて成功に導く独自の手法を持つ。
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怖い、堅い…周りからそんな風に思われていませんか?経理に大切なのは、「コミュニケーション能力」
冨永先生が見てきた中で良くある経営者と経理の関係はどのようなものですか?
経営者に経理知識がなく経理業務は経理に任せっぱなし…、というのはよく見るパターンですね。さらに、経営者が経理業務に対して苦手意識を持っている場合は注意が必要です。経営者が経理に対して、「自分が苦手な仕事を任せている」という認識だと、経理側から意見や質問が出てきても、苦手意識が先行して聞き入れることができなかったりと、良くないサイクルを生み出してしまいます。そのせいで経理とのコミュニケーションも疎遠になりがちなどということになると、会社にとっていいことはありません。
経理担当者の姿勢としては、どのようなケースが多いのでしょうか?
経理側も「経理には社内コミュニケーションは必要ない」と考えてしまっている方が多くいらっしゃいます。一般的に、経理は数字を扱えればいいと認識されがちですが、実は全く違うんです。
確かに経理の仕事は、数字を正しく扱い経営判断のための情報を提出することが第一ですが、正しい資料を作成するためには各部署と適切にコミュニケーションをとり、必要な情報をキャッチアップしたり、経緯を把握することも重要なのです。そういう意味では、経理担当者には、経営者だけでなく、営業部、企画部、社内のすべての部署とコミュニケーションを取れる能力が必要なのです。
コミュニケーションが苦手という方がコミュニケーション能力を伸ばすためにはどうすればいいのでしょうか?
コミュニケーションは苦手…と思っている方でも、まずは笑顔を意識することだけで大きく印象は変わると思います。あと、私はよく「できる営業マンを参考にしてください」とお話します。できる営業マンは、いつも笑顔で聞き上手お客さんのニーズを引き出し、商品を売ります。経理に変換すると、お客さんは経営者や他部署の社員の方になりますね。もし、こちらの記事を読んでいる経理担当者の方が、他部署の人から、堅い、怖い、なんてイメージを持たれているとしたら、できるだけ早く改善した方がいいですね。経理の方がコミュニケーションを意識することで、経営者も、他部署の方もきっと協力的になってくれると思います。
企業の成功の秘訣は、「経理が経営者の参謀になること」
成功している企業に多い共通点はどのような点でしょうか?
成功している企業は、経営者が経理を「参謀」として重視しています。経営者が経理を尊重し、尊敬し、専門知識をもった部隊と認識しているのです。当たり前のようなのですが、実は意識できていない経営者の方って多いのです。
経理部単体では利益は上げられないけれども、会社全体の売上を上げるための戦略決定の元となる数字はすべて経理部に集まってくるわけですから、そこに優秀なブレーンがいれば、会社にとっていい影響があるのは自明のことです。逆に、経営者と経理部の間に距離があいてしまっていたら、うまくいかないというのは当たり前ですよね。
もちろん、経営者側にも経理知識を習得する姿勢が必要です。こちらも実践できていない経営者の方ってやっぱり多いのです。経営者に経理知識がないと、判断するのに不安が生じてしまったり、それでは企業としての将来性が心配になってしまいます。
経理を上手に活用することが成功企業の共通点なので、経営者の方にはぜひ意識してほしいですね。
会社の成長には経理の成長が必要不可欠
経理が経営者の参謀になることによって、どのような変化があるのでしょうか?
ずばり、会社が成長します!
経営者が経理を参謀として尊重するようになると、経理側も前向きに提案をしようという姿勢が出てきます。経理が日常の業務だけでなく、経営者の参謀として経営視点を持つようになると、これまでは過去と現状の分析で止まっていた経理からのアウトプットも未来を目指すものに変わっていきます。
私は、「お金という物差しで、会社の未来をどう創っていくか」を組み立てられるかに、経理担当者としての真の価値があると思っています。たとえば、資金調達の際には必ず経理の力が必要となります。損益計算書や事業計画書、資金繰り表といった書類が必要となるためですが、その時にきちんとした経理がいなかったとしたらどうでしょう。一時的に人を雇ったり、会計事務所に依頼をしたりすることももちろん1つの方法ですが、外部の人間が数字を見るのと、経営者の参謀として同じビジョンを持った経理担当者が行うのとでは大分違うと思うのです。社内の経理担当者が動くことで、他部署の人間も協力しようと前向きになりますし、まさに経理が動くことで社内が活性化することになるのです。
会社が成長するときは経理が必要となるのですね。
そうですね。経理が成長すれば会社が成長するのです。過去と現状を分析して未来を動けるようになることは企業にとって非常に大きなメリットですよね。
経理の成長のためには、まず成長できる環境を
経理が経営者の参謀になるためには、まずなにから取り組めばいいのでしょうか?
まずは、やはり経営者が「経理は自分の参謀」という意識を持つことが大切だと思います。
また、経理の方も「自分が経営者にとってどのような参謀になりたいか」というイメージを持つことが大切ですね。意識ができたら、次はそれを実現するための環境を整えましょう。
環境を整えるとは、具体的にはどのようなことをすればいいのでしょうか?
経理業務と一言でいっても、その範囲は広く業務量は膨大です。意識だけ変わっても、現状が過去と現在の業務に追われている状況ですと、未来志向のための時間は取れません。そこで、自動化できる作業は自動化し、恒常的な残業や、業務効率の悪さは改善すべきです。そうすれば空いた時間で未来を考えた投資や戦略などにも経理が参加できるようになっていきます。成功企業になる為に、経営者と経理担当者がはじめに解決しなければならない課題がここですね。
最近ではクラウド会計ソフトなど経理業務の効率化ツールもたくさん出ていますし、自社に合った方法を採用することが重要だと思います。私も切り替えられるところはどんどんクラウドを活用しています。会計や税務のソフトが全部クラウド化すればパソコンを持ち歩かず、iPadだけで仕事ができる日も近いかなと思っています。笑
最後に、一言お願いいたします
業務効率化ができれば業務に余裕ができ、未来型志向を見据えることができるようになっているはずです。未来を語る為には人間関係がとても重要です。コミュニケーションが苦手な方も多いと思いますが、まずは簡単なことから意識していただければと思います。小さなことと思われるかもしれませんが、将来必ず会社にとってもご自身にとってもいい影響をもたらしているはずです。
編集後記
経理プラス編集部より…
経理にもコミュニケーション能力が必要という点は、たくさんの企業を見られてきた冨永先生だからこそのユニークな視点ですね!なるほど、と思う点が多く、「経理の成長によって会社も成長する」という点では、企業にとっての経理部門の重要性を改めて認識しました。
そうそう、相手との人間関係を友好に保つために「笑顔」ができてきたら、次には「お笑い」というコンセプトも入れるのもいいみたいです。ちなみに冨永先生は別名「愛と絆の微笑女税理士(あいときずなのびしょうじょせんし)」というキャッチフレーズを持っていらっしゃいます。それゆえ、いつもパソコンと電卓と税法の本と共に、赤いハート模様のセーラームーンの変身ステッキを持ち歩いているとのこと。鞄からステッキを取り出すと女性のみならず男性も、笑いながらその変身ステッキを手にしてポーズをとるんですよ、とおっしゃっていました。ほかにはお客様の売上がたくさん上がるようにとお札の扇子なども持っています。「こういう小道具ってコミュニケーションのウォーミングアップになるんですよ」と、微笑みながらおっしゃっていました。
冨永先生、貴重なお話ありがとうございました!
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