リース取引の仕訳と、具体的な適用指針について

リース取引の仕訳と、具体的な適用指針について

2019年1月1日以前の開始事業年度でのリース取引は、ファイナンス・リース取引と、オペレーティング・リース取引の二種類に分類していました。リース取引とは、特定の物件の所有者が、リース期間中において、使用する権利を与えて、使用料金を受け取ることをいいます。では、適用指針を見ていきましょう。

ファイナンス・リースでない取引の詳細と仕訳

ファイナンス・リース取引には、所有権が移転する売買取引と、所有権が移転しないリース資産の期間定額法による減価償却があります。リース資産がファイナンス・リース取引であるかどうかは、適用指針を見るとわかります。中途解約不能のリース取引かつフルペイアウトのリース取引であるかどうかにかかっています。その答えがYESの場合、ファイナンス・リース取引だといえます。NOの場合は、オペレーティング・リース取引だといえます。

所有権が移転しないファイナンス・リース取引の場合、借り入れをして資産を購入したことと同じなのですが、所有権が移転しないため、最後にリース資産を返却する必要があります。そのため、決算の際には、残存価格をゼロとして減価償却を行います。

前提条件

・現金で購入した時の値段   50,000
・リースを組んだ時の支払総額 60,000(1,200円の50回払)

取得時

リース資産50,000リース債務50,000

リース料支払い時

リース債務1,000現金1,200
支払利息200※

※ここが、お金を借り入れして支払ったのと同じ仕訳になります

決算仕訳

減価償却費12,000リース資産12,000

決算で完全に減価償却を行い、リース資産をゼロにします。

ファイナンス・リースの取引と仕訳

所有権が移転するファイナンス・リース取引の場合、借り入れをして資産を購入した場合と同じ仕訳になります。ファイナンス・リース取引とは、リース期間中に中途解約できない、またはこれに準ずるリース取引をいいます。フルペイアウトとは、借り手がリース物件の経済的利益を実質的に受けとり、使用に従って生じるコストを負担することとなるリース取引をいいます。

前提条件

・現金で買った時の値段     50,000
・リースを組んだときの支払総額 60,000(1,200円の50回払い)

取得時

リース資産50,000リース債務50,000

リース料支払い時

リース債務1,000現金1,200
支払利息200

決算仕訳

減価償却費10,000リース資産10,000

決算でリース資産の耐用年数に応じた減価償却を実施します。今回は耐用年数5年の定額法としています。

オペレーティング・リース取引の詳細

こちらは、リース資産を契約期間の間だけ借りているだけですので、資産を取得はしていません。一方のファイナンス・リース取引は、他社に購入してもらったものを、リース料を払って借りるという取引です。本来であれば借りる側がお金を用意する必要があるのですが、ファイナンス・リース取引ですと、まとまったお金を用意する必要がありません。実質的に、お金を借りてリースしているのと同じになるので、仕訳もお金を借りて購入した時と同じような仕訳になるのです。お金を借りているのと同様であることから、「ファイナンス」という名前がついています。ファイナンス・リース取引は、リース会社がお金を代わりに出して購入するもので、本来はリース会社にとって必要のないものです。よって途中解約されてしまっては、不要な資産が残ることになりますので、ファイナンス・リース取引は途中で解約することができません。これが、ファイナンス・リース取引の大きな特徴です。

前提条件

・現金で買った時の値段     50,000
・リースを組んだときの支払総額 60,000(1,200円の50回払い)

取得の仕訳

取得時には仕訳はありません。

リース料支払い時

リース料1,200現金1,200

決算仕訳

決算時に仕訳はありません。

なお、2019年1月1日以降に事業開始となるリース取引については、ファイナンス・リースもオペレーションリースも、同じリース取引として扱われます。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
経理プラス:新リース会計基準が強制適用開始!IFRS未適用企業にも影響があるIFRS16号

まとめ

以上、2018年までのリース取引の仕訳と、具体的な適用指針をご紹介しました。2019年1月からは新リース基準に変わっていますので、会計実務では十分に注意しましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。