消費税の課税事業者必見!消費税と印紙税との関係から節税を考える
領収書や契約書などに貼付されている印紙ですが、企業によっては年間を通して考えると大きな金額になることもあります。また、消費税についても、5%から8%に上がり、さらに2019年10月1日からは10%まで引き上げられました。企業の事業活動においてどちらも負担が大きい印紙税と消費税ですが、節税という点でお互いに密接な関係があることはご存知ですか?
今回は、具体的なケースも取り上げながら印紙税と消費税の節税についてご紹介していきます。
また、領収書に貼る収入印紙については下記記事で解説していますので、併せてご覧ください。
経理プラス:領収書に貼る収入印紙はいくら?金額や種類、購入方法を解説
印紙税に対する心構え
印紙税とは、課税文書に対して課される税金のことを言います。印紙税は課税文書の種類とその金額に応じて算出されます。したがって、印紙税の算出方法が間違っていると過大な金額の印紙を貼ってしまったり、貼り忘れなどによって過怠税が課税されることも考えられます。
「詳しくは分からないけれど、印紙をとりあえず貼っておこう」という状態は、大きな無駄につながります。また、実務的に見れば、ちょっとした工夫で印紙税だけではなく、消費税について金額を抑えることができます。
印紙税は税込価格で考える?
上記では、印紙税についての正しい知識を持っておくことが重要であるとお話しました。ここからは、印紙税や消費税を抑える上でぜひとも知っておくべきことを紹介していきます。
基準となるのは税込金額?税抜金額?
たとえば・・・
消費税(10%) 4,980円
合計 54,780円
このケースでは、本体価格の49,800円か、税込価格の54,780円のどちらの金額で印紙税を考えれば良いでしょうか。
実は、領収書の書き方によって異なります。
その取引に当たって「課されるべき消費税額等が明らかとなる場合」には消費税抜きの金額で計算することになるのです。すなわち、消費税額がいくらであるのかを、領収書に明記されているかどうかが重要なのです。
消費税(10%) 4,980円
合計 54,780円
・54,780円(うち、消費税額 4,980円)
という領収書の書き方の場合は、消費税額が4,980円と明記されているため、税抜価格の49,800円で印紙税を計算します。
・54,780円(消費税等を含む)
このような表示の場合は、消費税額が明らかでないため、税込金額の54,780円で印紙税を計算することになります。
特に今回のケースでは、消費税を明記していた領収書の場合は、5万円以下であることから非課税(0円)であるのに対し、消費税を明記していない領収書の場合は200円の印紙税が課税されることになります。
領収書に消費税額を明記することで、印紙税の金額も大きく変わってくるかもしれません。
(この規定については、以下の課税文書について適用が認められています。
・第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
・第2号文書(請負に関する契約書)
・第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)
参考:国税庁HP:「No.7124 消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額」)
節税のために印紙は金券ショップで購入すべき!?
印紙代については、通常は非課税仕入れで処理します。これは、消費税の非課税取引の規定の中に、
「日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡」
という記述があるためです。
しかし、印紙を金券ショップで購入した場合はどうでしょうか。金券ショップは「印紙の売渡し場所における印紙の譲渡」には当てはまらないので、課税仕入れに該当します。
具体的には、20,000円の収入印紙を購入する場合に、「印紙の売渡し場所」である郵便局や法務局などで購入する場合は、その20,000円は非課税仕入れで処理されます。一方で印紙を金券ショップで購入した場合には課税仕入れで処理されます。そして、20,000円×10/110=1,818円の課税仕入れに係る消費税額を計上することになりますので、消費税の納付税額を抑えることにつながります。
すなわち、印紙の購入場所を変更することで消費税を節税することができるのです。簡易課税を適用していない消費税の課税事業者は、印紙の額面の金額と価格差がないとしても、金券ショップに行って購入するほうが良いですね。
最後に
今回は、印紙税と消費税の節税についてご紹介してきましたが、いかがでしょうか。印紙税も消費税のどちらも、まずは正しい処理を行うことが大切です。その上で、領収書の書き方や印紙の購入場所を工夫するなどして、少しでも税額が抑えるためにできることを実践してみてください。
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