労働生産性とは? その定義と高め方のポイント

労働生産性とは? その定義と高め方のポイント

働き方改革が推し進められるなかで、生産性向上や労働改善などに注目が集まるようになりました。しかし、そもそも生産性とはどういう意味なのでしょうか。また、海外と比べると日本の労働生産性が低いと言われているのはなぜでしょうか。そして、それを高めるためにはどうすればよいのでしょうか。今回は、労働生産性とその高め方についてご紹介します。

労働生産性とは?

日本における特徴や高め方の前に、労働生産性についてご説明します。

労働生産性の定義

労働生産性とは、労働者の数やかかった時間に対して、どれだけの産出量をあげることができたのかを示す指標です。ここでいう産出量とは、生産した量、販売した額、付加価値として生み出した額などが当てはまります。簡単に考えると、投入した労働に対してどれくらいのものを生産できるのか、という考え方です。つまり、労働生産性は産出量(生産量や販売額など)を労働投入(労働者の数やかかった時間)で割ることで求められます。

労働生産性の種類

労働生産性はさらに、何に注目するかによって種類を分けることができます。そこで次に、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」をご紹介します。

物的労働生産性

生産数量や客数などの物的なものに注目して算出されるのが、「物的労働生産性」です。物価変動などに左右されずに算出することができるため、現場の生産性を知りたいときに用いられます。計算式としては、生産数を労働者の数、あるいは時間で割ることになります。

付加価値労働生産性

一方の付加価値労働生産性は、生み出した付加価値に注目して算出されます。数量ではなく、利益をベースとして考えたいときに利用されます。計算式は、付加価値額を労働者の数、あるいは時間で割るといったものになります。
その他、生産性の分析に関しては下記記事でも紹介しております。参考にご覧ください。

経理プラス:生産性分析の基本計算方法や目安の値、分析方法を分かりやすく紹介

日本における労働生産性の特徴

世界各国と比較したとき、日本の労働生産性はどのようになっているのでしょうか。

世界と比較した日本の労働生産性

世界各国と比較したときに、日本の労働生産性は低いと言われています。公益財団法人日本生産性本部が発表した2020年版のデータによると、日本の時間当たりの労働生産性はOECD加盟38カ国のうち23位となっています。主要先進7カ国の中では、データがある1970年以降、最下位が続いている状況です。また1人当たりの労働生産性は21位で、こちらも低い数字となっています。これらの統計はGDPを国の年間平均就業者数で割って算出されているため、先ほどご紹介した計算式と完全には一致しません。また、各国の法律や働き方などの違いは反映されにくいという点には留意しておくべきでしょう。しかしながら、日本が長年低い労働生産性を示していることは事実です。

参考:公益財団法人 日本生産性本部 労働生産性の国際比較2021

日本の労働生産性が低い要因

さまざまな要因がありますが、そのひとつに「労働時間が長い」ということが挙げられます。すべての企業に当てはまるとは限りませんが、その背景には粗利が取れないため人件費の捻出ができない、そのため労働者あたりの業務量が増える、そして長時間労働となる、といった連鎖があります。また、生産性が低いために労働時間でカバーするしかない、そして長時間労働のために人件費が増大して生産性が低下するといった負の連鎖もあります。近年は働き方改革によって改善の方向に向かっているとはいえ、長時間労働はまだまだ取り組むべき重要な問題といえるでしょう。

労働生産性の高め方

労働生産性を高めるためには、日々繰り返してしまっている無駄な業務をできるだけ効率化し、利益に直結する仕事に集中して取り組めるような労働改善が必要になります。そうすることで労働時間の無駄な長期化を防ぐことができ、時間当たりの生産性は向上します。また、そのような労働改善は労働者のモチベーションの維持、向上にもつながります。

では、無駄な業務を効率化するためには具体的にどのような手段があるのでしょうか。よくある対応策は、業務システム構築ツールを活用することです。「楽楽販売」をはじめとするシステムは、Excelで管理してきたような煩雑な情報の管理を飛躍的に標準化、そして効率化することができます。

たとえば、資料の送付や社員間の情報共有など、今まで「時間がかかってしまうのは仕方がない」と思っていた部分をストレスフリーにします。データの更新や集計、請求書などの帳票類の作成などのルーチンワークは、ボタン1つで自動化することができます。さらに、特定の条件で自動のアラートメールを送るなど、ボタンのクリックさえなくルーチンワークを自動化することも可能なため、今までメールでの共有にかかっていた時間は削減されるでしょう。情報共有はリアルタイムに行われるため、引き継ぎの労力や伝達ミスの大幅な削減が期待できます。このような機能がそれぞれの会社に合わせて自分たちで簡単にカスタマイズできるため、システム開発会社への発注費用や開発にかかる労力をかけることなく、労働改善、そして労働生産性の向上が期待できます。

まとめ

労働生産性を高めるためには日々の業務の見直し、改善が必要です。利益につながらない煩雑な仕事や作業が楽になり、コア業務に集中して取り組むことができる環境が整うことで、労働生産性の向上につながることでしょう。

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