エクセルでの見積書の作成方法と注意点 【テンプレート付】

「見積書が使いにくい」「他の書類の様式とそろえたい」という場合は、見積書をエクセルで作成することも選択肢の1つです。見積書を正しく作成するために、手順や記載項目を確認しましょう。本記事では見積書の役割を確認し、作成方法や注意点を紹介します。
見積書とは
見積書は買い手の希望に応じて、売り手が金額や納期の概算を提示する書類です。事前に口頭やメールでやり取りを行った上で、買い手が取引を本格的に進めたい場合に売り手へ発行を依頼することが一般的です。
商品の見積書であれば、単価・数量・金額・納期といった基本的な情報を記載します。一方、工事や特注品の見積書では金額のほか、使用する材料の明細や工事範囲といった情報を記載します。
さまざまな費用を積み上げて見積りを出す大規模な工事案件では、見積書が数十ページにもなる場合も少なくありません。そのため、建設業や電気工事、設備工事などでは、専用の見積作成ソフトが販売されています。
エクセルで見積書テンプレートを作成する方法
見積書をエクセルで作成する場合は、テンプレートを使うと簡単です。以下のリンクからダウンロードして、ぜひご活用ください。
経理プラス:見積書の無料エクセルテンプレート|記載事項と作成時の注意点は?
より使いやすく、自社に適した見積書を作るなら、テンプレートを自作することもおすすめです。以下では、見積書のエクセルテンプレートを作成する方法を紹介します。
用紙サイズを設定する
まずは見積書の印刷サイズを指定します。見積書のサイズに決まりはありませんが、A4サイズが一般的です。「ページレイアウト」タブで用紙サイズを選び、印刷範囲を設定しましょう。
必要事項を入力する
見積書に必要な事項は次のとおりです。
- 表題
- 見積No.
- 発行日
- 有効期限
- 宛先の名称
- 自社の名称・住所・連絡先
- 見積金額
- 品名
- 税区分
- 数量
- 単価
- 金額
- 消費税額
スムーズに取引に移れるよう、上記の項目のほかに納期や支払条件などを記載することもあります。

それぞれの項目について以下でみていきましょう。
1.表題
エクセルシートの1行目に「見積書」と入力します。1行目の印刷範囲のセルをすべて選択して「セルを結合する」を押して中央揃えに指定すると、表題が中央に配置されます。
文字の大きさや太さを変えて、分かりやすく目立つように調整しましょう。
2.見積No.
管理しやすいよう、見積書の番号を記載しましょう。見積書番号を付けることで、発行時の重複を防止できます。
送付先からの問い合わせ時にも、見積書番号を伝えてもらうことでどの見積書の話なのかをすぐに把握できます。
3.発行日
見積書を発行した年月日を、右上に記載します。見積書を郵送する場合でも、ポストへ投函した日ではなく、発行した日を正確に記載しましょう。
見積書の発行日は、有効期限を計算する際の基準となる重要な情報です。誤りのないように、発行の際はよく確認しなければなりません。
4.有効期限
見積書の内容がいつまで有効なのかを明記します。有効期限は2週間~6か月に設定されることが一般的ですが、法的な決まりはありません。
見積書を出した後に原価や仕入値が上がれば、過去に出した見積りの金額では赤字となってしまいかねません。有効期限を設けることはこうした場合の対策となり、そのときの実情に合った見積金額を相手に提示できます。
加えて、見積書に期限を設けることで、相手に発注を促す効果もあります。
5.宛先の名称
見積書を発行する相手の情報を記載します。会社名に加えて、分かる場合は担当者名も記載しましょう。
6.自社の名称・住所・連絡先
自社の情報を記載します。名称や住所、電話番号・メールアドレスなどを正確に記載しましょう。見積書を見た相手が必要に応じてすぐ連絡できるよう、連絡先も忘れずに記載します。
7.見積金額
見積りの総額を記載します。品名や単価などの詳細とは別に一目で総額がわかるようにすると親切です。
8.品名
見積りの対象となる品名を記載します。内容が相手に伝わるよう、分かりやすく記載しましょう。
見積りの対象がサービスやデザインなどの場合は、工程を細かく記載することをおすすめします。それぞれに数量や単価を記載すれば、内訳が伝わりやすく親切です。
9.税区分
見積りの対象の税区分について、標準税率の10%と軽減税額の8%のいずれであるのかがわかるように記載します。税率をそのまま記載するほか、軽減税率の場合のみ「※」等の記載をして区分することも方法の1つです。
10.数量
見積りの対象に合わせた単位で、品物・サービスの数量を記載します。
サービスや作業内容について「一式」と記載する方法もありますが、内容の内訳が分かりにくいため、できる限り使わないことをおすすめします。やむを得ず使う場合は、内訳をできる限り詳しく記載しましょう。
11.単価
品物・サービス1つあたりの税抜単価を正確に記載しましょう。なお、単価を定めるのが難しい場合は、空欄にするケースもあります。
12.金額
品物ごとの合計金額を記載します。
13.消費税額
税区分ごとの消費税額を記載します。見積書には消費税額を記載しなくてもよいとされています。しかし、後々のトラブル防止のために、見積書には消費税も含めた金額を記載することが一般的です。
罫線を設定する
見積書の内訳に罫線を設定し、表の形式に整えます。品名・サービス名や数量、金額などの部分を格子状に囲みましょう。
罫線を設定することで項目ごとの区分が明確になり、見やすい見積書を作成できます。必要に応じて列や行の幅を調整したり、罫線の種類を変えたりすることで、さらに見やすくなります。
関数を設定する
関数を設定して数値の自動計算をすることで、正確な見積書ができます。
たとえば、単価と数量を掛け合わせるように設定すると、品目ごとの合計金額が自動的に計算されます。それをすべて合計すれば、見積り全体の合計金額にも活用が可能です。
エクセルで見積書を作成する際の注意点
エクセルを使うことで自社に合った見積書を作成できる一方、次のような注意点もあります。
- 入力ミスに注意する
- 運用ルールを定めて徹底する
- データで送る場合はPDFに変換する
- 電子帳簿保存法に沿って取り扱う
具体的に注意すべき点について、それぞれみていきましょう。
入力ミスに注意する
エクセルでの見積書作成時には、入力ミスがないように気を付けましょう。
見積書をエクセルで作成する場合は、担当者が手入力しなければならないため、ミスが発生しやすいといえます。数字の間違いはないか、入力するセルに間違いはないかを入力時にチェックしましょう。
担当者一人ひとりが注意しても、ミスが起こる可能性はあります。見積書は一人で作成するのではなく、複数人でダブルチェックする体制を整えておきましょう。
運用ルールを定めて徹底する
エクセルの見積書の作成方法やルールを、あらかじめ決めておくことも大切です。
エクセルの習熟度は人によって異なるため、エクセルの扱いが得意な人ばかりが見積書の作成をすると、業務の属人化につながります。誰が作成しても同じ品質となるように運用ルールを定めることが必要です。
手が当たったなど、些細なきっかけで関数を消してしまう場合も考えられます。入力するセルとそうでないセルを色分けして区別する、入力すべきセルをマニュアルで指定するなどの工夫も大切です。
データで送る場合はPDFに変換する
エクセルで作った見積書をメールなどで送る場合は、必ずPDF形式に変換しておきましょう。エクセル形式のままだと編集ができてしまうため、送付先で改ざんされる可能性もゼロではありません。レイアウトが崩れることも考えられるため、PDF形式にしてから送りましょう。
エクセルからPDFに変換するには、エクセルの「ファイル」タブをクリックして「エクスポート」を選択します。「PDF/XPS」をクリックして保存先を選択すれば変換は完了です。
電子帳簿保存法に沿って取り扱う
エクセルで作成した見積書は、電子帳簿保存法に沿って保存する必要があります。電子帳簿保存法とは、従来では紙の保存が必要だった書類について、データでの保存を認める法律です。
見積書をエクセルで発行してデータで送付した場合は「電子取引」に該当するため、その控えもデータで保存する義務があります。加えて、電子取引のデータを保存する際は「真実性の要件」と「可視性の要件」の2つを満たさなければなりません。それぞれの要件は次のとおりです。
【真実性の要件】
次のいずれかを満たす
- タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
- 取引情報の授受後、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付すとともに、保存を行う
者又は監督者に関する情報を確認できるようにしておく - 記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受及び保存を行う
- 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定めその規定に沿った運用を行う
【可視性の要件】
次の要件をすべて満たす
- 保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
- 電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
- 検索機能を確保すること
真実性の要件における、タイムスタンプの付与や訂正・削除の記録などには、専用のシステムが必要です。事務処理規定を定めて運用する方法であれば、新たにシステムを導入しなくても実施できます。
可視性の要件における検索機能については、さらに次の3つの要件があります。
- 取引年月日・取引金額・取引先により検索できること
- 日付又は金額の範囲指定により検索できること
- 二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
ただし、税務職員の求めに応じてダウンロードできる場合は、1のみを満たせばよいとされています。また、求めに応じてデータのダウンロードができる小規模の事業者であれば、検索機能の確保自体が不要です。

インボイス制度導入後の変更点
2023年10月からインボイス制度が施行されました。しかしこれに伴い、見積書については、従来のフォーマットや記載項目を変更する必要はありません。インボイス制度の趣旨は、売り手が正確な消費税率や消費税額を買い手側に伝えることです。インボイス(適格請求書)に該当する書類は請求書、領収書、レシートなどで、これらは仕入税額控除に必要です。なお、見積書はインボイスには含まれていません。
見積書に消費税を記載する際に、税率を区分する必要はありません。ただし、適用税率に気を付けて計算し、消費税額は正しく記載しましょう。
また、自社が適格請求書発行事業者であることを示すために、見積書に登録番号を記載することも考えられます。
エクセルで作成した見積書の送付方法
見積書を相手へ届ける方法としては、データの送信または紙の郵送が一般的です。それぞれのメリットや具体的な方法、注意すべき点について以下でみていきましょう。
データ送付
メールや専用システムを使って、見積書をデータの状態で送る方法です。
送付したデータはすぐ届くため、相手を待たせることがありません。費用や手間もかからない手軽な方法といえます。
メールで見積書を送付する場合は、「○○のお見積書送付のご案内」「お見積書を送付いたします」など分かりやすい件名を付けましょう。メールの本文には、次の内容を簡潔に記載します。
- 相手の会社名と担当者名
- 見積書を送付した旨
- 見積書を開けない場合の対処方法
- 有効期限
数日経っても返信がない場合は、「メールの送信に失敗している」「相手の迷惑メールフォルダに入ってしまっている」などの可能性があります。見積書を確認できているかどうか、電話で確認するとよいでしょう。
郵送
エクセルで作成した見積書を紙に印刷して封入し、郵便によって送る方法です。
改ざんされるリスクが少なく、データでの送付に対応できない取引先にも送付できます。一方で、インク・紙のコストや切手代などがかかることや、相手に届くまでに時間を要することなどがデメリットです。
見積書を郵送する場合は、見積書とは別に送付状を添えるのがマナーです。相手へのあいさつや送付物の内容を伝えるために、忘れずに作成して封入しましょう。
見積書は適切な保存が必要
見積書を発行した後は、控えを適切に保存する必要があります。見積書を正しく保存するために、保存期間と保存方法を知っておきましょう。
保存期間
見積書の保存期間は次のように定められています。
| 法人 | 7年間 (欠損金が生じた年度は10年間) |
| 個人事業主 | 7年間(消費税の課税事業者) 5年間(消費税の免税事業者) |
見積書は国税関係書類の1つであり、取引の証拠となる重要な書類です。上記の保存期間内は大切に保管しましょう。
保存方法
見積書は、発行・受取の方法によって保存方法が異なります。
見積書をデータで発行した場合は電子帳簿保存法に従い、控えのデータを保存しなければなりません。見積書のデータを受け取った場合も同様に、データのままで保存します。いずれの場合も「真実性の要件」と「可視性の要件」の2つを満たす必要があります。
見積書を紙で発行した場合は、控えは紙に印刷して保存してもデータのまま保存しても構いません。紙の見積書を受け取った場合は、基本的に紙のまま保存します。なお、電子帳簿保存法に従って要件を満たせば、紙の見積書をスキャンしてデータで保存することも可能です。
まとめ
見積書は取引を開始する前に必要となる重要な書類であり、売り手が買い手に対して発行します。見積書のエクセルテンプレートを使えば、すぐに見積書を作成できます。自社にとってより使いやすい見積書の様式を作りたい場合は、自作するのも方法の1つです。
見積書を作成する際は、手順や記載項目、注意点を踏まえておくことが大切です。送付方法や保存のルールについても理解し、見積書を使ってスムーズに取引を進めましょう。
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。















