単価見積書の無料エクセルテンプレート|作成の目的や書き方のポイントを解説
単価見積書は、商品・サービスの1単位あたりの単価のみを記載した見積書であり、初期の検討段階で概算金額を把握したり、取扱商品のリストとして活用したりするために作成されます。
本記事では、単価見積書の概要や作成目的、項目別の書き方を解説します。また、単価見積書を簡単に作れる無料のエクセルテンプレートも紹介しますので、ぜひご活用ください。
単価見積書の無料エクセルテンプレート
単価見積書を活用することで、取引数量が一定でない場合や未定の場合でも、概算金額を把握できるようになります。単価見積書の作成には、テンプレートを利用すると便利です。
ここでは、単価見積書を簡単に作成できるエクセル形式の無料テンプレートをご用意しました。必要な項目を網羅しているため、単価見積書を一から作成する手間を削減できます。ぜひご活用ください。

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単価見積書とは?
単価見積書とは、商品・サービスの1単位あたりの単価のみを記載した見積書です。ここでは、単価見積書の特徴や作成目的、作成するケースを紹介します。
単価見積書の特徴
一般的な見積書は、商品やサービスごとに「数量 × 単価 = 金額」の形式で記載され、発注する具体的な数量に基づいた合計金額が提示されます。
一方、単価見積書は、発注数量が未確定な段階や、大まかな価格帯だけを把握したい場面で用いられることが多く、商品やサービスの「単価(1単位あたりの価格)」のみを提示するのが特徴です。具体的な数量や合計金額は記載されません。
見積もりの依頼者は、提示された単価をもとに自社の予算や必要数量を考慮しながら発注数量を決定します。また、単価を比較したうえで複数の見積もり先と価格交渉を行ったり、大量発注による割引交渉の材料としたりすることもあります。
単価見積書を作成する目的
単価見積書は、顧客から依頼されたときや、商談の初期段階に提示するケースが一般的です。
作成の主な目的は、概算金額の把握と商品やサービスのリストとしての活用の2点です。
それぞれ、詳しくみていきましょう。
概算金額を把握する
単価見積書は、顧客が具体的な発注の前に、概算でどの程度のコストがかかるかを把握したい場合に作成される書類です。
導入前に概算金額を把握したい初期の検討段階や、仕様や数量がまだ確定していない段階のプロジェクトなどで活用されます。
たとえば、設備導入やシステム開発などで、具体的な仕様や発注数量がまだ確定していない段階では、総額での見積もりを出すことが難しい場合があるでしょう。
そこで、各項目の単価だけを提示する単価見積書を作成することで、発注者はおおよその費用感を把握できます。今後の予算策定や発注数量の調整、社内稟議などの判断材料として活用することが可能です。
取扱商品のリストにする
単価見積書は、取扱商品のリストとして活用されることも多く、その点も単価見積書を作成する目的のひとつです。発注者は、実際に注文する商品やサービスを選定する際の参考資料として活用します。
商品名・仕様・単価などを明記することで、発注者はその内容をもとに必要な品目や数量を検討でき、社内での確認や予算調整、最終的な発注内容の決定にもつながります。
特に、取扱商品が多数ある場合や、顧客から「商品一覧と価格だけをまず知りたい」と依頼された場合には、単価見積書が効果的です。いわば「価格付きのカタログ」としての役割を果たします。
単価見積書を作成するケース
単価見積書は、主に次のようなケースで作成されます。
- 初期検討段階
- 大量発注の交渉時
- 定期的な価格見直しの時
顧客が初期検討段階でプロジェクトの予算感やコストの目安を把握したいとき、仕様や数量がまだ確定していない段階で、単価のみを提示して全体の費用イメージを持ってもらうために作成します。
また、大量発注で発注数量が未定または変動しやすい場合に、単価をもとにした価格交渉を行うときに作成することも多いでしょう。
定期的な価格改定や条件変更の際、顧客の理解を得るため、単価だけを改めて提示するために作成する場合もあります。
単価見積書の書き方
単価見積書の主な記載項目は、以下のとおりです。
- 発行日
- 宛名
- 差出人の情報
- 有効期限
- 見積もりの内容
初めて作成する際は、記載すべき項目を把握し、それぞれの記載方法や注意点を押さえておくことが重要です。
ここでは、項目ごとの内容や記載のポイントを紹介します。

①発行日
発行日は、取引の起点となる重要な項目です。「見積書がいつ作成されたものか」を明確に示すものであり、発行日を基準にして、注文期限や納期、契約締結のタイミングなども判断されます。そのため、年月日を正確に記載することが必要不可欠です。
また、発行日は単価見積書の有効期限を適切に設定するためにも欠かせません。発行日がなければ、価格条件の有効期間が不明確となり、後のトラブルにつながる可能性があります。
②宛名
宛名には先方の「所在地」と「会社名」を正確に記載します。会社名の略称や表記ミスは失礼にあたるため、登記上の正式名称を確認して記載するのが望ましいでしょう。
状況に応じて、見積もりの依頼主や担当者の「部署名」「役職名」「氏名」を追記することもあります。
また、敬称の使い方にも注意が必要です。法人や部署宛ての場合は「御中」、個人または担当者宛の場合は「様」を使います。担当者名を明記する場合、会社名に「御中」をつける必要はありません。
③差出人の情報
差出人情報の記載は、信頼性の確保とスムーズな連絡のために欠かせません。自社の「会社名」「所在地」「担当者名」「連絡先(電話番号・メールアドレスなど)」を明記します。これにより、相手先が見積書の発行元を正しく把握でき、問い合わせや発注を円滑に行えます。
また、連絡手段はできるだけ複数記載するようにしましょう。たとえば、電話番号やFAX番号、メールアドレスなどを併記しておくことで、相手先が都合の良い連絡手段を選びやすくなるでしょう。
④有効期限
原材料費や人件費の変動リスクに備え、有効期限を必ず設定しましょう。有効期限を明示することで、提示した価格や取引条件が期限を過ぎると変更する可能性があることを発注者に伝えられます。これにより、価格変動の前の早期の判断を促す効果も期待でき、促受注機会の確保にもつながるでしょう。
また、実際に原材料費や人件費が変動した場合に、期限を過ぎた見積書での発注による損失を防ぐ役割も果たします。有効期限が過ぎた後に発注を受ける場合は、必ず取引条件の再確認を行い、新たな単価見積書の発行を行いましょう。
特に長期にわたる案件では、価格改定の可能性についてもあらかじめ明示し、双方の認識を共有しておくことが重要です。
⑤見積もりの内容
見積もりの内容には、品目ごとの「単位」と「単価」を明確に記載します。単価見積書は、あくまで1単位あたりの価格を示すための書類です。そのため、数量は基本的に記載せず、代わりに数量「1」を仮で記載しておくこともあります。
この際、「1個」「1時間」「1㎡」「1セット」など、価格がどの単位に対して適用されるのかを明示することが大切です。単位の記載が不十分だと、発注や契約段階で誤解が生じ、トラブルの原因となる可能性があります。
単価見積書を作成するときのポイント
単価見積書を作成する際は、いくつか注意すべきポイントがあります。品目ごとに単価を明確にすること、取引の範囲を具体的に記載することなどがあげられます。
作成の際のポイント・注意点について、詳しくみていきましょう。
品目ごとに単価を明確にする
品目ごとに単価を明確に記載することで、取引条件が明確になり、価格構成の透明性が高まります。顧客側も費用内訳を把握しやすくなり、不要な問い合わせや価格交渉の手間を減らすことができるでしょう。
また、品目名は、商品やサービスの内容がひと目でわかるように、できるだけ具体的に記載してください。
たとえば、「作業費」「材料費」といった漠然とした表現ではなく、「〇〇工事費(人件費)」「〇〇材(A規格品)」など、用途や仕様が伝わる表現にすることで、相手が見積もり内容を正確に把握しやすくなります。
取引の範囲を具体的に記載する
商品の特性やサービスの範囲が複雑な場合は、見積書に詳細な情報を記載することが重要です。
たとえば、製品の仕様やサイズ、材質、対応する規格など、相手が内容を正確に把握できるように具体的に記載します。サービスについても、作業の範囲、工数、対応時間、対象設備、場所などを明記すると、誤解や認識のズレを防ぐことができます。
複雑な内容を簡略にまとめすぎると、納品後のトラブルや価格交渉の食い違いが生じる原因になりかねません。
必要に応じて、備考欄に補足情報を記載したり、仕様書や資料を添付したりして、見積もりの正確性と信頼性を高めましょう。
数量に応じた変動がある場合は注記する
数量や取引量によって単価が変動する場合は、「一括注文で値引きあり」「〇〇個以上で割引適用」などの注意書きを明記しておきましょう。
このような記載があることで、取引先にとってコスト面のメリットが明確になり、大口注文を促す効果も期待できます。また、事前に価格変動条件を共有しておくことで、トラブル防止にもつながるでしょう。
さらに、「別途ご相談」「数量に応じて価格調整可」など柔軟な対応を示す文言を添えることで、相手側に配慮した姿勢も伝わります。価格体系が複雑な場合は、価格条件の詳細を別紙に記載して添付するのも有効です。
まとめ
単価見積書は品目ごとの単価だけを記載し、数量や総額は省略した形式の見積書です。おおよその費用感をつかむ目的や、取扱商品の一覧を示す用途などで活用されます。
発行日や見積もり内容など、記入すべき情報には一定のルールがあるため、作成前に確認しておくことが大切です。
単価見積書の作成は、テンプレートを利用すると便利です。その際は、無料でダウンロードできるテンプレートもぜひご活用ください。















