経理担当者目線で開発された電子請求書発行システムとは
前回から引き続き、株式会社ラクス 経理財務部部長の八幡 恭輔氏にお話を伺います。
今回は、同氏が携わる電子請求書発行システム「楽楽明細」の製品企画について、開発の経緯や、請求書のWEB化を実現させたポイントなどを伺いました。
自社の請求書発行の効率化からの開発スタート
「楽楽明細」について教えてください
「楽楽明細」とはWEB上で請求書や納品書といった帳票を発行できるシステムです。前回お話した「楽楽精算」の姉妹製品として2014年にリリースされました。
どのような経緯で開発が開始されたのでしょうか
「楽楽精算」で経費精算が効率化できたので、他に経理の課題解決として何ができるかと考えたときに「請求書の発行」というキーワードが上がりました。そこが開発のきっかけですね。
実際に、当社でも請求書の発行件数が毎月1,300件を超え、なんとか効率化ができないかと考え、様々な工夫をしておりました。そのひとつが封入機(請求書の折込と封かんの機械化)の導入でした。しかしながら、取引会社数が多くなるにつれ、封入機だけでは対応が逼迫し、このままだと増員でカバーするしかないという状況となり、発送方法を工夫するより、そもそも発送件数を減らせないのかと発想を転換して出てきたのが、WEB上で請求書を閲覧してもらうという方法でした。
他社サービスの利用も検討しましたが、それだと当社で発行している請求書のフォーマットに合わせるため、カスタマイズ工数が相当かかってしまうということが分かり断念しました。既存の製品がそうだとすると、「同じように悩んでいる会社も多いのではないか、それだったら自社でつくってしまおう」ということで、「楽楽明細」の開発がスタートしました。
「楽楽明細」により、請求書発行、郵送の手間が大幅に削減
実際に「楽楽明細」の導入後、請求書発行はどのように変わりましたか
以前は、事業部から提出される請求データを販売管理システムに入力してから、印刷し発送するという手順で、請求書発行に月初の2日間を2名体制で費やしていましたが、「楽楽明細」導入後は、請求情報をデータ連携することができるようになったため、金額チェックの業務稼働やWEBに移行したお客様に対する郵送の手間がなくなり、大きく稼働削減できましたね。
さらにその後、「楽楽明細」に郵送代行機能が追加され、請求書発行にかかる業務稼働は、申請されたデータを承認する稼働のみとなりました。
「郵送代行」とはどのような機能でしょうか
WEBでの受取ではなく郵送を希望するお客様に、「楽楽明細」で郵送代行の設定をするだけで、自動で郵送手配がされる機能です。
「楽楽明細」の運用をスタートしていくと、中には社内規定などの事情により郵送での受取しかできないというお客様もいらっしゃいました。そうすると、郵送量は減ったとはいえ郵送手配の手間が残ってしまう。そこで出てきたのが郵送代行のニーズです。「楽楽明細」に郵送代行の機能を加えることによって、請求書発行に関するすべての手間が削減できるようになりました。
継続的なご案内でWEB化率は約80%に
請求書のWEB化に対する顧客の反応はどのようなものでしたか
特にクレーム等もなく、多くのお客様にスムーズに移行していただけました。中には、社内規定などの事情で紙での受取を希望する方もいらっしゃいますが、複数回にわたるご案内の結果、徐々に移行が進んでいます。実際に、現在ラクスの顧客のWEB 化率は約80%となっています。
ここまで高い数値にまで移行が進んだのは、請求書のWEB受取への理解が進み、一般的になってきている点も背景としてはありますが、1回のみのご案内だけでなく、継続的なご案内によるものが大きいと思っています。ラクスがWEBで請求書を発行しているのを認知し続けていただくために、請求書の支払処理を担当される方の変更や、支払処理にかかる社内ルールの変更を想定し、時期を見て継続的なご案内を行いました。
ご案内の方法としては、「紙の削減によるエコに取り組んでいます」という文面にしました。一番理解が得られるかなぁ…と。
経理の立場からの製品開発
製品企画に携わる上で気をつけていることを教えてください
実際に使っていく中で、困ったことがあれば開発担当者にフィードバックするようにしています。また、もっと良い製品にできないか、といった視点を持って製品を使うように心がけています。ですが、特定企業寄りの機能がついてしまうと良くないと思っていますので、あらゆる会社が使える機能になることを意識しています。
最後に
この記事をご覧になっている読者の方へ一言お願いいたします
「楽楽精算」と同様に「楽楽明細」を使っていただければ、必ず経理担当の仕事は楽になります。特に請求書の発行にお困りの方は、それらの業務稼働がほぼ「ゼロ」になることを想像していただければ、その効果の大きさが分かっていただけると思います。
今後も製品力を強化していく予定ですので、様々なお客様に使っていただける製品にしていきたいですね。
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より