【経理担当者必読】5分で分かる!経理の年間業務スケジュール
連企業の経理部門では、年間を通してさまざまな業務が行われます。今回は、3月決算の企業を例にとって、1年間の経理月次業務を分かりやすく解説します。特に、初めて経理部門に配属された…という方は、この記事で経理業務の全体像を把握してください。
決算作業の山!4月~7月の月次経理業務
4月の経理業務
- 決算整理仕訳
3月決算の企業において、年度初めの4月は決算作業に忙しくなる月です。3月に棚卸しをし、会計業務を締め切ります。当該年度の取引の中で、未処理のものをきれいに整理します。その他、減価償却費や勘定科目なども見直します。
- 財務諸表の作成
決算整理仕訳の内容を元に、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書を作成します。
- 税金納付
軽自動車税、固定資産税・都市計画税第1期分を納付します。
- 「給与支払報告に係る給与所得者異動届出書」の提出
退職や転勤に応じて、「給与支払報告に係る給与所得者異動届出書」を提出します。
・対象者:1月に住民税の「給与支払報告書」を提出した人の中で、退職や転勤により、4/1に他から給与を支給されている人
・提出先:「給与支払報告書」を提出した市町村
※4/2以降に退職・転勤があれば、異動があった日の翌月10日までに「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を提出します。
5月の経理業務
- 法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の確定申告と納付
法人税・消費税は、期末から2カ月以内に税務署に必要書類を提出して確定申告を行い、納税する必要があります。また、法人住民税や法人事業税も期末から2カ月以内に申告・納付を行います。
- 税金納付
自動車税を納付します。
- 株主総会の招集
財務諸表を作成したら、株主総会の開催です。開催の1週間前までに、株主宛に開催通知を送りましょう。
6月の経理業務
- 株主総会
会社の規定に沿って、株主総会が開催されます(時期等は企業によって前後します)。必要に応じて、資料等の準備を行います。
- 個人住民税の納付
納期の特例の適用を受けている場合、10日までに個人住民税の納付を行います。
7月の経理業務
- 源泉所得税の納付
納期の特例の適用を受けている場合(※)、10日までに源泉所得税の納付を行います。
※本来は、毎月の分を翌月10日までに納付しますが、従業員数が常時9人よりも少ない企業の場合は、半年ごとにまとめて納付すれば良いです(1月と7月)。
- 税金納付
固定資産税・都市計画税の第2期分を納付します。
- 健康保険、厚生年金保険の定時決定
7/10までに、4月から6月までの社会保険料の合計額を日本年金機構に提出します。これを元に、9月以降の保険料が決定されます。
中間報告メインで落ち着く時期!8月~11月の月次経理業務
8月の経理業務
- 消費税の四半期中間申告と納付
大規模事業者(※)は、消費税の中間申告と納付を行います。
※中間報告の対象となるのは、直前期の消費税額が400万円~4800万円以下の事業者です。
11月の経理業務
- 法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の中間申告
事業年度開始から6カ月を経過した日から2カ月以内に、前期の納税額に応じて法人税の前払いを行います。前年の納税額に応じた出費となるので、あらかじめ想定額を準備しておくようにしましょう。「赤字になってしまった」という場合は、仮決算を行うことで納税額を抑えることができます。
決算に向けての準備が始まる!12月~3月の月次経理業務
12月の経理業務
- 年末調整
1月~12月に支払った所得税のうち、過不足を調整する業務を行います。扶養家族の増減や、生命保険料、住宅ローンなどの状況を加味して調整します。
- 税金納付
固定資産税・都市計画税の第3期分を納付します。
また、納期の特例の適用を受けている場合、10日までに個人住民税の納付を行います。
1月の経理業務
- 固定資産税の償却資産に関する申告
償却資産とは、土地や建物以外の事業用資産のことです。コピー機や工場の機械などが含まれます。償却資産や土地などについて、固定資産税が課税されます。
毎年、1/1時点で所持している償却資産の内容を、31日までに届け出ます。
- 源泉所得税の納付
7月に行ったものと同様の業務です。本来は、毎月の源泉所得税を翌月10日までに納付しますが、従業員数が常時9人よりも少ない企業の場合は、半年ごとにまとめて納付します。
- 法定調書および給与支払報告書の提出、支払調書の作成・提出
法定調書とは、源泉徴収票や不動産の使用料などの支払調書です。これを31日までに税務署に提出します。
2月の経理業務
- 決算準備
来るべき決算業務に向けて、決算計画を作成し、各部門への協力依頼を行います。
- 税金納付
固定資産税・都市計画税の第4期分を納付します。
- 消費税の四半期中間申告と納付
大規模事業者(※)は、消費税の中間申告と納付を行います。
※中間報告の対象となるのは、直前期の消費税額が400万円~4800万円以下の事業者です。
3月の経理業務
- 実地棚卸
決算前に、販売目的の資産の現物を点検し、残高を明らかにします。
まとめ
いかがでしたか。今回ご紹介した月次業務は、それぞれ1年に1回ずつしか発生しない業務です。だからこそ、前回の作業を思い出すのに時間がかかったり、想定外のトラブルに見舞われたりしてしまいます。
そうならないために、年間スケジュールを把握して、先回りして準備を行い、余裕を持って月次業務を終わらせていきましょう。
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