経理担当者の人事評価ポイント-CFOを目指す経理担当者のためのスキルアップ講座

経理担当者の人事評価ポイント-CFOを目指す経理担当者のためのスキルアップ講座

経営トップは、経理担当者(マネージャーレベル)をどう評価するのでしょうか。どこに評価の基準があるのでしょうか。営業マネージャーであれば、売上の目標達成が評価の一つの基準でしょうし、製造マネージャーであれば、所定の品質・原価・数量および納期で生産するため、人、物、金、情報を駆使して、需要予測、生産計画、生産実施、生産統制が適切に予算計画通りに行ったかどうかが評価の基準になるでしょう。

それでは、経理マネージャーの評価基準はどこにあるのでしょうか。今回は経理実務の第一線で活躍されている経理マネージャーのために、経営トップから見た評価基準をご紹介します。経営トップから何を期待されているのか、これを読むと良くわかります。

正しくて当たり前、信頼とインテグリティ

通常の月次決算であるP/L、B/S以外にも経営トップへいろいろな数字の資料を提出することがあると思います。その数字は、「正しくて当たり前」という大前提があります。その数字を基準にして、必要であれば計画等を修正する必要があるかどうか、重要な経営判断をするわけですから、その数字は正しいものとして会議は進行するわけです。もし、その数字に誤りがあれば、経営判断を誤る可能性もあるわけです。数字に誤りがあれば、特に単純な計算ミス等であれば、会議の進行中におかしいことが発覚するでしょう。しかし、単純ミスで許されるものではありません。一度ならず、何度かあれば、信頼を失うことになります。ちょっとした不注意で大きな騒ぎになってしまうこともあるのです。「ミスが許されないこと」という大変な仕事ですが、それだけ経営トップはあなたの仕事に対して信頼しているわけです。

また、インテグリティも重要な要素になります。インテグリティとは、外資系企業ではよく耳にする言葉ですが、適切な日本語訳が見つからない言葉でもあります。一般的には、「高潔さ」、「真摯さ」と訳されています。言葉としてボヤっとしているので、イメージしにくい言葉です。それだけ定義は難しいのかもしれません。現代経営の第一人者であるドラッカーもその著書「現代の経営」の中でこの言葉を使っています。インテグリティの欠如した例として、人の長所や特異な領域ではなく、短所や不得手に焦点をあわせる者、冷笑家、優秀な部下を嫌うもの、自らの仕事に高い基準を定めない者、等と記載しています。つまり、こういう資質、態度の人はインテグリティが欠如していると言えるのです。このインテグリティが高いことが求められているのです。

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経営サイドに対して適切な助言、財務面での貢献

実務面では、特に経営サイドに対して適切な助言をしてくれるかどうか、財務面での貢献度が大きいかどうかというのもポイントになります。

たとえば、営業サイドで、顧客の依頼で、製品は本日(月末間近の29日)出荷で、納品書伝票の日付は翌月1日付けにしてほしいと言われて、「うちの会社の締め(28日)はもう終わっているので売上計上には影響がないのでいいだろう。顧客の要望でもあるし」と安易に受け入れてしまう傾向があります。しかし、財務担当者がしっかりしていれば、「売上計上は出荷基準ですので、その要望は受け入れられません。実際の支払い期間が伸びるだけで当社にとってデメリットです。」と適切に経営サイドに助言できなければなりません。

また、財務担当者は経営者に近い存在でなくてはなりません。そのために多くの人に自分の考えを説明し納得してもらう必要があります。取り扱う項目が財務という専門的内容をベースにしているものが多いので、自社データをベースに作成した企業戦略、利益計画等を経営幹部にわかりやすく説明出来なければなりません。そうした適切な助言、財務面での貢献が大きな評価ポイントになります。

部下の育成

「言うは易し、行うは難し」というのが、部下の育成になります。「業務が多く、なかなか時間を割けない」、「教育制度がきちんとしていないため、体系的なトレーニングが出来ない」等のお悩みがあるのが実情だと思います。しかし、部下に定例的な仕事ばかりやってもらっている場合、経営サイドに必要な非定例的な仕事がいつになってもできるようになりません。教育制度できちんとしたものがなければ、ご自分で時間を割いて、実際に指導育成する必要があります。この点も評価のポイントとなります。特に大企業の場合は、人材育成の面からも評価を受け、自分の後任者は誰で、現在の育成状況はどうなっていて、いつになれば(たとえば1、2年後)自分の後任として機能できるようになっているというのも重要なポイントになります。後任者がまだ誰もいない、または十分育成されていないという状況では評価されません。

まとめ

以上、経営サイドから見た、経理担当者の評価のポイントをわかりやすく説明させていただきました。これらのことを踏まえて仕事に取り組んでいただければ、評価が高まるのは間違いありません。ご参考になれば幸いです。

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