【経理ニュース速報】弥生が請求書管理サービス「Misoca」を10億円で買収 −背景とその狙いとは?—
会計ソフト大手の弥生が、請求書管理サービスの「Misoca」を提供するミソカを買収することを発表しました。弥生はミソカの発行済み株式の100%を創業者などから約10億円で取得。今後、ミソカは弥生の子会社となります。
「Misoca」とは −普及する請求書管理サービス−
ミソカは2011年6月に創業した名古屋のスタートアップです。「世の中を仕組みでシンプルに」というビジョンのもと、クラウド型の請求書管理サービス「Misoca」を提供しています。
クラウド型の請求書管理サービスは、近年各社よりリリースされている注目のツールです。請求書の作成~発行までをクラウドサービス上で行うことができ、これまでかかっていた作成や郵送の手間の削減、郵送費の削減、発行までの時間の短縮など様々なメリットがあります。中には郵送代行までを請負うサービスもあり、請求書の発行を自身で担わなければならない個人事業主を中心に活用され始め、いまでは企業間においても請求書管理サービス上での請求書の受取が見られるようになってきました。
弥生による「Misoca」買収の背景
今回の弥生による「Misoca」買収の背景には、大きく2つの理由があげられます。
クラウド化の促進
弥生が小規模法人向けのクラウドソフトをリリースしたのは2015年7月。新たなユーザー獲得のための取り組みとしてのリリースでしたが、競合の会計ソフト大手PCAでは、2008年にクラウド型の基幹業務サービス「PCAクラウド」がリリースされているなど、クラウドサービスへの進出という点においては一歩遅れをとっている状況でした。
さらにPCAは、2015年11月よりラクスが提供する請求書管理サービス「楽楽明細」との連携を発表し、請求管理の面においてもいち早い動きを見せています。
今回の買収には、このような競合企業への対抗策という役割があることが推測されます。
新興勢力への対抗策
2点目の理由としては、近年台頭するクラウド会計の新興勢力への対抗策であることがあげられます。
安価で導入がしやすく保守などの手間もかからない、個人事業主や中小企業向けのクラウド会計サービスは、年々導入数を伸ばしてきました。中でも、「freee」と「マネーフォワード」は請求書発行ソフトの開発・提供も行っており、会計ソフトと請求書管理サービスの連携力の高さも知られています。もともと、弥生と「Misoca」は連携をしていましたが、今回の買収によるさらなる連携力強化により、これらの新興勢力への競争力を強化することが目的として考えられます。
最後に
今回の買収によりクラウド会計市場はより激戦区となっていくことが予想されます。弥生のサービスがどのように変わっていくのか、競合各社もどのような対策をとっていくのか、今後の動向に注目が集まります。
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