分割払いの覚書の無料エクセルテンプレート|契約書との違いや書き方のポイント
「分割払いの相談を受けたけれど、わざわざ契約書を作り直すのは面倒…」「でも口約束だけでは未回収のリスクが怖い」 そんな時に役立つのが、当事者間の合意を簡潔に記録し、法的効力のある証拠として残せる『覚書』です。
本記事では、そのまま実務で使える「分割払いの覚書テンプレート(無料)」を公開するとともに、契約書との違いや、法的トラブルを防ぐための書き方のポイントを専門的な視点で解説します。この記事を読めば、支払条件の変更や追加合意にも、自信を持ってスムーズに対応できるようになります。
分割払いの覚書の無料エクセルテンプレート
分割払いの覚書は、支払い条件を明確にし、当事者間の認識違いを防ぐために重要な文書です。前文・本文・後文などの各項目を整理して記載することで、合意内容を分かりやすく残せます。記載すべき事項に抜けや漏れがあると、本来の効力を十分に発揮できないおそれがあるため、内容を確認しながら正確に作成することが大切です。
ここでは、分割払いの覚書を簡単に作成できる無料テンプレートをご用意しました。覚書の作成に必要な項目を一通り揃えているため、作成の手間を軽減できます。ぜひアレンジしてご活用ください。

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覚書とは?
覚書とは、当事者間で合意した内容を簡潔にまとめた文書のことです。契約書ほど厳密な形式や詳細な条項は求められないものの、口約束では不安が残る合意内容を明確に残す目的で作成します。合意の存在や内容を可視化して、認識の不一致やトラブルを防ぐ役割を果たす書類です。
ここでは、覚書と契約書・念書との違いや、覚書の法的効力を解説します。
契約書・念書との違い
契約書とは、当事者間の権利・義務、条件などを明確にするための正式な文書です。口頭による約束でも契約自体は成立しますが、契約書を作成することで、合意した事実や具体的な条件を客観的に示せます。証拠としての信頼性が高まり、万が一トラブルが生じた場合にも、法的な根拠として役立つでしょう。
これに対して、念書とは、一方の当事者が特定の義務を果たすことを相手に約束する文書です。双方の合意というよりも、片方の意思表示として使われる点が特徴です。
知人から借りたお金の返済を約束する場合など、比較的私的な関係において、一方が相手に対して義務の履行を約束する場面で用いられることが多いでしょう。
覚書は、契約書と念書の中間的な性質をもち、契約書ほど形式や内容に厳密さは求められませんが、当事者同士が合意した事項を簡潔に記録し、確認するために作成されます。
補足的な合意や確認事項を残したい場合に用いられ、状況に応じて柔軟に活用できるのが特徴です。
覚書の法的効力
覚書に法的効力があるかどうかは、状況によって異なります。場合によっては契約として扱われることもあれば、単なる確認文書にとどまることもあります。
判断の基準となるのは、覚書の内容や作成に至った経緯から、当事者が法的な拘束を受けることを前提に合意していたかどうかです。双方にその意思があったと認められる場合には法的効力が生じますが、合意の意思が確認できない場合には、法的拘束力は認められません。
簡易な文書であっても、当事者双方の署名や捺印があり、合意内容が具体的かつ明確であれば、契約書と同じく法的効力を持ちます。実際に、裁判においても、合意の存在や内容を示す重要な証拠として扱われるケースは少なくありません。
文書の名称が「覚書」であるかどうかよりも、当事者が合意した意思が明確に示されているか、内容が具体的に記載されているかが重視されます。
そのため、後日の紛争や認識の食い違いを防ぐためにも、曖昧な表現は避け、合意事項を整理したうえで、誰が読んでも理解できる内容で作成することが重要です。
覚書を作成するケース
覚書が作成されるのは、主に次のようなケースです。
- 契約締結前に条件や役割分担などの確認事項を整理する
- 契約締結後に契約条件を決定する
- すでに締結した契約内容に変更や追加を行う
契約締結前に条件や役割分担などの確認事項を整理する
本契約を結ぶ前の段階では、取引条件や業務内容、役割分担などについて認識が完全に一致していないことも少なくありません。このような場合に覚書を作成することで、現時点で合意している事項や前提条件を整理し、書面として共有できます。
正式な契約書を作成する前に共通認識を持つことで、その後の交渉や契約締結をスムーズに進められ、認識違いによるトラブルの防止にもつながります。
契約締結後に契約条件を決定する
契約締結時点では、すべての条件を確定できないケースもあります。たとえば、業務の詳細や支払方法、スケジュールなどを後日決めるような場合です。このような場合、追加で合意した内容を覚書として残すことで、契約関係を明確にできます。契約書を作り直すことなく、合意内容を補足できる点がメリットです。
すでに締結した契約内容に変更や追加を行う
契約締結後、取引内容や条件に変更や追加が生じることは珍しくありません。たとえば、業務範囲の拡大や支払条件の変更などが該当します。分割払いであれば、回数の変更などが挙げられます。このような場合、契約書を一から作り直す代わりに、変更点や追加事項のみを覚書として作成することで、効率的に対応できるでしょう。どの部分がどのように変更されたのかを明確にできるため、後日のトラブル防止にも役立ちます。
分割払いの覚書の記載項目
分割払いの覚書を作成する際は、支払条件や当事者の合意内容を正確に記載することが重要です。ここでは、分割払いの覚書に必要な記載項目と書き方について、テンプレートを見本にしながら解説します。

①タイトル
覚書の冒頭には、文書の目的が一目で分かるタイトルを記載します。「分割払いに関する覚書」「代金の分割払いの覚書」など、分割払いについての合意であることを明確に示すことが大切です。タイトルを明記することで、ほかの書類との混同を防ぎ、後から見返した際にも内容をすぐに把握できます。
また、タイトルにより文書の性質が明確になり、合意内容を示す資料として分かりやすくなるでしょう。
②前文
前文は、本文に入る前提条件を整理する役割を持ち、当事者関係や合意の趣旨を明らかにする重要な部分です。覚書を交わす当事者の名称や分割払いに至った背景などを簡潔に記載します。ここで明確にしておくことで、本文の内容についての理解や解釈のズレを防止できます。
当事者名は「甲」「乙」などの略称を用いることで、法人名や氏名を繰り返し記載する手間を軽減できます。「甲と乙は、以下のとおり合意した」などの定型表現を用い、これから記載される内容が双方の合意事項であることを明確にしてください。
すでに契約書を交わしている場合は、混乱を避けるため、その契約書で使用している略称と統一するとよいでしょう。
また、関連する契約書や既存の書類がある場合には、前文で「令和〇年〇月〇日締結の〇〇契約書」などと、日付や名称を正確に記載します。特定の条項を修正・変更する場合は、「第〇条」など、該当箇所を具体的に示すことも重要です。
③本文
本文は、当事者同士で取り決めた内容を具体的に記載する中心的な部分です。内容をできるだけ明確にすることが求められます。表現が曖昧だと、解釈の違いが生じるおそれがあるため、金額や期間、方法などは数値を用いてはっきりと記載することが大切です。
たとえば「代金を分割して支払う」と記載する場合でも、支払総額、分割回数、各回の支払金額、支払期日、支払方法などを具体的に定めておく必要があります。また、記載事項が複数にわたる場合は、条番号を付けて整理することで、内容の確認や後日の参照がしやすくなるでしょう。
④後文
後文には、覚書を何通作成するのかを記載し、当事者双方がその内容に合意していることを記載します。「本覚書は本書2通を作成し、甲乙各自1通を保有する」などの表現が一般的です。記載により、原本の所在や保管方法をはっきりさせる役割も果たすでしょう。
後文を設けることで、覚書が双方の合意に基づいて正式に成立した文書であることが明確になります。特に分割払いに関する覚書では、支払条件や金額を巡る認識違いを防ぐためにも、合意の成立を明示する後文は重要です。
覚書全体を簡潔に締めくくりながら、文書としての体裁と信頼性を高める役割を担います。
⑤日付・署名捺印
最後に、覚書を作成した日付を記載し、当事者双方が署名および捺印を行います。日付を明記することで、合意が成立した時点が明確になり、分割払いの開始日や支払期限の起算日を判断する基準となります。
また、署名や捺印があることで、当事者が内容を十分に理解し、同意したという事実を客観的に示せます。覚書が単なるメモではなく、正式な合意文書であることを示す重要な要素です。万一トラブルが生じた場合でも、有力な証拠として機能するため、日付・署名・捺印はいずれも省略せず、漏れなく記載するようにしましょう。
覚書を作成するメリット
覚書の作成により、当事者間で取り決めた内容を簡潔にまとめ、書面として残すことが可能です。契約書ほど厳密な形式を求められないため、実務に即した柔軟な対応が可能となり、トラブル防止や業務効率化にもつながるでしょう。ここでは、覚書の作成による主なメリットを紹介します。
事務処理の負担を軽減する
覚書は、契約書と比べて記載内容や形式が簡潔であるため、文書作成にかかる手間や時間を抑えられる点がメリットです。細かな条文構成や専門的な表現を必ずしも求められない場合が多く、合意内容を必要最小限の情報に絞って整理できます。
そのため、急ぎで合意事項を書面として残す必要がある場面でも、迅速に作成することが可能です。特に、頻繁に条件調整が発生する取引や、日常的な業務のやり取りにおいては、覚書の活用によりスムーズに対応できます。
事務処理の負担を軽減しながらも、合意内容を明確に残せる点は、大きなメリットといえるでしょう。
変更や追加が容易にできる
覚書は簡潔な文書であるため、契約内容に変更や追加が生じた場合でも柔軟に対応できる点がメリットです。新たな条件が発生した際にも、契約書を一から作り直す必要はなく、変更点や追加事項のみを覚書として整理できます。そのため、手続きにかかる時間や手間を抑えながら、合意内容を適切に更新できるでしょう。
状況の変化に合わせて文書を作成・修正できる点は、実務において大きなメリットです。特に、支払条件や分割回数などが変更されやすい取引においては、覚書を活用することで、その時点で有効な合意内容を分かりやすく管理できます。その結果、当事者間の認識違いを防ぎ、円滑な取引関係の維持につながるでしょう。
後日の証拠になる
覚書として合意事項を文書に残しておくことで、分割払いについて当事者間の認識違いやトラブルが生じた場合の重要な証拠となります。
口頭のみの合意では、時間の経過とともに記憶が曖昧になり、後から内容を巡って争いが生じる可能性があるでしょう。しかし、覚書があれば、どのような条件で合意したのかを客観的に確認できます。
さらに、署名や捺印がある覚書は、当事者双方の合意意思が明確に示された文書として、裁判などの場でも証拠として扱われることがあります。合意内容を書面で残しておくことは、紛争が起きた場合の対応だけでなく、トラブルそのものを未然に防止する役割も果たすでしょう。
覚書についてよくある疑問と注意点
覚書は便利な文書ですが、作成や運用にあたっては疑問が生じやすい点もあります。特に分割払いに関する覚書では、収入印紙の要否など、判断に迷いやすい点が少なくありません。ここでは、覚書についてよくある疑問や注意すべきポイントを解説します。
覚書に収入印紙は必要?
覚書であっても、その内容が契約書と同じ性質を持つ場合には課税文書とみなされ、収入印紙が必要となることがあります。たとえば、分割払いの対象となる金額、支払回数、支払期日などを定め、金銭の支払い義務が明確に記載されている場合は、印紙税の対象となる可能性があります。一方で、すでに締結した契約書の内容を前提として、支払方法の確認や支払スケジュールを整理する目的にとどまる覚書であれば、収入印紙が不要と判断されるケースもあります。
分割払いの覚書は内容によって取り扱いが分かれるため、記載内容や位置づけをよく確認し、判断に迷う場合は税理士など専門家に相談すると安心です。
なお、収入印紙が必要になるのは紙の文書だけで、電子契約の場合は課税文書とみなされず、印紙税は発生しません。そのため、収入印紙の貼付は不要です。
覚書は電子的に締結できる?
覚書は、電子契約サービスを利用して電子的に締結することも可能です。電子化することで、印刷や郵送の手間が不要となり、業務の効率化やコスト削減につながります。収入印紙代もかからず、場所や時間を問わず手続きを進められるため、締結までの時間を短縮できる点もメリットです。
電子署名が付された覚書は、法律上も有効とされており、紙の覚書と同様に当事者の合意内容を証明する役割を果たします。さらに、データとして保管・管理できるため、検索や共有がしやすく、紛失のリスクを減らせる点もメリットといえるでしょう。
特に分割払いの覚書では、支払期日や支払回数、残額の確認などを後から見返す場面が多くなります。電子契約であれば、必要な情報をすぐに確認でき、管理の手間を大幅に軽減できます。支払条件の変更や追加覚書を作成する際も、過去の文書との整合性を保ちやすく、実務面での利便性が高い方法といえるでしょう。
覚書を修正したいときは?
覚書の内容を変更・修正したい場合は、修正点を反映させた新たな覚書を作成するか、変更内容のみをまとめた追記用の覚書を別途作成するのが一般的です。既存の文書を口頭で変更するだけでは、当事者間で認識のズレが生じやすく、後々のトラブルにつながるおそれがあります。
そのため、どの部分をどのように変更したのかを具体的に示し、必ず書面として残すことが重要です。あわせて、元の覚書との関係性や適用開始日を明記しておくと、内容の整理がしやすくなるでしょう。文書化することで合意内容の正確性を保ち、将来的な紛争の予防にもつながります。
まとめ
分割払いの覚書は、契約書ほど厳密でなくても、当事者間の合意内容を明確に記録する重要な文書です。契約書との違いを正しく理解し、分割払い特有の支払条件や変更時の対応方法まで具体的に記載しておくことで、後日のトラブル防止につながります。テンプレートを活用すれば、支払金額や支払期日、回数、遅延時の対応などの記載漏れを防ぎながら、効率良く作成できます。
書面として残すこと自体が信頼関係の維持にも役立つため、取引内容や状況に応じて、適切に分割払いの覚書を活用しましょう。












