【インタビュー】プロバスケ選手でありながら公認会計士試験合格!-数字の視点でバスケ界を改革

【インタビュー】プロバスケ選手でありながら公認会計士試験合格!-数字の視点でバスケ界を改革

経理担当者が会社の経理や財務の業務をしていく上でプロとして力を借りることが多い「公認会計士」。岡田優介氏は、現役のバスケットボール選手かつ3人制プロチームの共同オーナーでありながら、2010年公認会計士試験に合格した稀有な経歴の持ち主です。公認会計士を目指した理由や資格取得のメリット、試験対策のコツ、今後の展望などについて伺いました。

きっかけは大学生協 のパンフレット、 社会人4年目で合格

――岡田さんは、現役アスリートとして公認会計士試験に合格した稀有な経歴の持ち主です。なぜ難関に挑戦しようと考えたのですか?

バスケットボールで成長できる環境として青山学院大学を選びましたが、もともとスポーツだけをしていればいいという考えはありませんでした。むしろ他の学生より熱心に勉強して、大学3年の前期までで卒業に必要な単位をほぼ取り終えてしまったんです。

そんなときに、生協でたまたま目にしたのが公認会計士のパンフレットでした。難易度が高いことに挑戦したい、社会的に信用度が高い資格を活用して将来はバスケット界に貢献したいという気持ちがありました。

――アスリートというとスポーツ一筋というイメージがありますが、周囲の反応は?

まさに一筋に邁進するのが美徳とされる時代でしたから、「バスケットボールをなめるな」「公認会計士を見くびるな」「引退後の保険だろう」といった声はありました。ただ、自分にしかできないことに挑戦しているのだから、と気にしませんでした。

とはいえ、最優先事項はもちろんバスケットボールです。効率的に試験勉強をするため、大学4年から予備校の通信教育で学ぶことにしました。

当時は、朝から晩まで忙しく過ごしていましたね。通信コースでも参加できる予備校で朝7時から8時半まで自習し、日中は移動して大学の図書館で勉強。夕方18時から22時まではバスケットボールの練習をして、帰宅後はまた勉強です。通学電車の中も貴重な勉強時間でした。

プロ契約を結んだ大学卒業後も、バスケットボール以外の時間はすべて勉強に費やしました。社会に出て1年目から会計士試験を受け始め、試験に合格したのは4年目のことでした。

数字の視点から選手を守る取り組みを提言

――プロバスケットボールのフィールドで、公認会計士の資格は役立ちましたか?

Bリーグができる前のプロバスケットボール界は選手を守る仕組みが整備されておらず、選手が不遇な扱いを受けることが少なくありませんでした。僕自身もトヨタから中小企業が運営するチームに移籍したときに、オーナー企業の倒産などによる給与の未払いを経験しています。

そこで2013年に日本バスケットボール選手会の初代会長に就任した際は、選手を守ることに取り組みました。オーナー企業の経営状況を確認するなど数字の視点から話ができたのは、まさしく試験のための勉強で身に付けた会計の知識のおかげでした。

――オーナーとしてはどうですか?

会計の知識はチームの経営にもちろん役立ちますが、資格を持ったことでさまざまな立場を経験できるようになったことが大きいと感じます。

選手として現場に立ったり、オーナーとして会社経営をしたり、会計士として監査補助業務をしたり、他社の経理の仕事もしたりした経験から、多面的に物事を考えられるようになり、よりよい判断ができるようになったと感じますね。どんな立場でも、教科書通りにいかないなかで現実的な落としどころを見つけなければいけない場面は少なくないですから。

会計の魅力を広く伝える無償の塾も実現

――公認会計士の資格取得後、無償で会計塾も開かれていますね。

会計塾は、人前で話をする練習として行っていました。簿記三級ぐらいの会計の知識を一般向けに分かりやすく解説する内容で、中学生から60代まで幅広い年齢層の人が集まってくれました。

受講生たちは皆、バスケファン。バックグラウンドは異なるけれど、全員が「岡田選手に教わるんだから」と高いモチベーションで取り組んでくれました。その結果、“簿記の勉強”だけでなく学び方について勉強する機会になった、という声を多くいただきました。

受講生の中には企業の経理担当者の方もいらっしゃって、「簿記や会計の視点を得たことで、自分がやっている業務がどんな意味を持つのかわかった」と言ってもらえました。また、会計全体だけでなく、自分の会社の経理状況を俯瞰することにも役立ったようです。日々の業務をしているだけでは、なかなか自分の会社と同業他社を比較してみようとは思わないものですよね。

その意味で、経理の人が簿記や会計士の資格を目指すのは意義深いですよね。経理担当としての視野が広がるだけでなく、現場の気持ちが理解できるという意味で会計士業界でもニーズがあると思います。

“やりたいことファースト”でメンタルと時間を管理

――日々の実務をこなしつつ、資格の取得やスキルアップをしたい経理担当者に、学びのコツを伝授してください。

両立や掛け持ちするには、通常の二倍、三倍のパワーが必要。そのためには、高いモチベーションを維持するメンタルコントロールがもっとも重要です。テンション高く楽しめた方が、嫌々取り組んでいるときの何倍もの能力を発揮できますから。

だから僕は、できるだけ自分を客観的に見ながら、テンションの高い状態を作るようにしています。やりたいこととやらなくてはいけないことがあったら、やりたいことファーストでテンションを上げてから、やるべきことに着手します。

気分が乗らないときは、「ここまでやったら」というゴールは設けつつ、そこまでいけばスパッと諦めます。判断に時間をかけず、ダメなら別のことに取り組むという訓練をしていると、だんだん感情に振り回されないようになっていきます。

――バスケットと勉強を両立させていた時代は、時間をどうやりくりしていたのでしょうか。

カレンダーを使ってタイムマネジメントをしていました。アポイントメントだけを書き込むのではなく、移動時間や隙間時間、「起きる」「食事をする」といった生活の時間も含めて、24時間すべてに「○○をする」と予定を立てるんです。

今、何をする時間なのかを可視化するだけで、普段よりも何倍も効率よく物事をこなせます。たとえサボったとしても、本来は何をすべき時間だったかを認識できるので、リカバリーもしやすいんです。

何かのために何かを諦めるという考え方は好きじゃないんですよ。もし「無理だ」と思ったら、それが思い込みではないか言い訳をする前に自分自身で疑ってみてほしい。モチベーションと時間さえやりくりすれば、どっちもできることの方が多いと思います。

バスケで人間を育む場を作りたい

――岡田さん自身の今後について教えてください。

選手としてのキャリアは終盤戦です。5年、10年先に一人の経営者として結果を出すべく、会計士の資格も生かしつつ準備中です。

現在、中核となっている3人制バスケの事業は、もう少し拡大させてから次世代にバトンタッチできたら理想的です。一方で注力したいのが、今拡大しつつあるキッズ向けのバスケットボールスクール事業です。

スクールといっても、プロ志望だけでなく、楽しくバスケをやりたい子、友達と一緒に思い出を作りたい子など、さまざまな生徒がいます。僕たちもバスケットボールだけを教えるつもりはなく、人間力を育める場にしてほしいという思いがあります。

もっとも大切にしているのは、自分の頭で考えて主体的に行動することです。バスケットボールはチームスポーツなので、組織として他者を尊重しつつ自分がどう動くべきかといった家庭では体験できないことまで教えられます。

――最後に、読者へのメッセージをいただけますか?

経理は、会社になくてはならない重要な部門。その仕事に誇りを持ちつつ、視野を広げていってほしいと思います。同業他社や異なる業界と自社の数字を見比べるだけでも発見があります。

日常の業務でも、目の前の実務と会社の目的、事業部門の目的などを重ね合わせて、多視点で考えながら取り組んでみてはいかがでしょうか。仕事の面白みが増しますし、自分が得られるものが二倍、三倍になるはずです。

今は、特定の分野のエキスパートよりも、専門スキルを軸に持ちながら別の分野の知見を持っている人材こそが評価される時代。興味、関心のアンテナを張り巡らし、一見関係ないと思われる分野でも見識を広げてみる。その一歩が、みなさんのキャリアやスキルをレベルアップしてくれるはずです。

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「電帳法対応進むクラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2021年6月号: https://mic-r.co.jp/micit/)より

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著 者 経理プラス編集部

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