【経理職アンケート調査2025】業務負担の集中する時期と課題の実態

はじめに

経理プラスでは、経理プラス会員の皆さまを対象に、経理業務における課題やストレス要因、そして効率化への意識等をヒアリングするアンケートを実施しました。今回は、アンケートの集計結果を公表しつつ、内容について考察します。

調査概要

  • 調査期間: 2025年7月7日~2025年7月11日
  • 対象: 経理プラス会員のうち、経理職種の会員の方
  • 回答数: 106名
  • 調査方法: オンラインアンケート

回答者は経理歴5年超の会員が過半数

回答者の所属業界は多岐にわたり、製造業や卸売業、建設業、不動産業、学術研究・専門・技術サービス業、医療・教育、生活関連サービス業、金融業・保険業など幅広い分野を網羅しています。

従業員規模については、「101人~200人」が最も多く、次いで「51人~100人」、「201人~500人」「11人~30人」と、中小規模の企業からの回答が多数を占めました。経理チームの規模は、「2~3名」、次に「4~5名」となっています。

また、経理職の経験年数では、「11年以上」が最も多く、次いで「6~10年」と、回答者全体の80.2%を経験豊富な層が占めています。

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社内外との調整が発生する業務やミスが許されない業務にストレスが集中

担当業務の中で特に負担やストレスを感じている業務として最も回答が多かったのは、「経営資料・社内レポートの作成」です。次いで、「予算作成・予実管理」、「年次決算の対応」、「売掛金・買掛金の管理」などが続きました。

特に、資料作成やレポーティングなど経営層や他部門とのやり取りが発生する業務に対して強いプレッシャーを感じている様子が伺えます。
また、決算などの定例業務に関しても、通常業務に加わるかたちで業務負荷が高まることから、ストレス要因となっていることが見て取れます。

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具体的なストレス内容

実際にストレスを感じる理由やエピソードとしては、以下のような声が寄せられました。

  • 「年次決算業務においては、期限が明確に定められており、処理期限内に事業報告書などすべての資料を作成しなければならず、非常に過密なスケジュールとなっている。」
  • 「資料がエクセルで直打ちの為、前年の数字等作業ミスが発生しやり直しを何度もした。」
  • 「経営者の経営判断となるデータをどう作成したらよいかわからず、悩んでいる」

組織面では、属人化の解消や社内理解の向上が課題

組織面でストレスを感じる項目として最も多くの回答者が指摘しているのが「業務の属人化」です。これは、特定の業務が特定の個人にしかできない状態を指し、担当者が不在の場合に業務が滞るリスクを伴います。属人化は、担当者の心理的負担を増大させるだけでなく、緊急時の対応遅れや、異動・退職時の業務引き継ぎの困難さ、ひいては組織全体の生産性低下に繋がる深刻な問題です。

また、多くの経理担当者が「社内に経理への理解が少ない/軽視されている」と感じています 。これは、経理業務が企業の根幹を支える重要な機能であるにもかかわらず、その専門性や業務量が社内で十分に認識されていないことを示しています。

また、多くの経理担当者が「社内に経理への理解が少ない/軽視されている」と感じています 。これは、経理業務が企業の根幹を支える重要な機能であるにもかかわらず、その専門性や業務量が社内で十分に認識されていないことを示しています。

アンケート編集用まとめ (2)

これらの組織的な課題は、個々の経理担当者の努力だけでは解決が難しい構造的な問題です。組織全体として経理部門の重要性を再認識し、業務の標準化、人員の適正配置、円滑なコミュニケーション体制の構築、そしてデジタル化推進への経営層のコミットメントが不可欠であると言えるでしょう。

業務負担のピークは決算期や月初

経理担当者の業務負担が特に集中する時期としては、「決算期(本決算・監査対応)」が多く、次いで「月初(前月処理・仕訳確認など)」、「年度末(年度末決算対応)」、「月末(月末締め処理・請求書処理など)」などが挙げられました。

これらの時期に負担がかかる理由として最も当てはまるものとしては、「残業時間の増加」、「関連部門からの対応が遅い」、「人手不足」、「ミスが増える」などが上位に挙げられています。

アンケートの回答では、「月次決算時に概算で良いから速報数字を出せと言われて仮計上を行い、確定時にまた同じ作業をしなければならず、二度手間で時間がとられるし、ミスを起こすリスクも高い」といった具体的な声も寄せられました。

これらの要因は単独で発生するのではなく、複合的に絡み合って経理担当者の業務負担をピークに押し上げています。例えば、人手不足の状況で関連部署からの情報が遅れれば、必然的に残業が増え、ミスも発生しやすくなり、締め切りへのプレッシャーが強まる、という連鎖的な問題が生じます。

業務負担の実態を深く理解したうえで、適切な人員配置や他部署との連携強化、さらに効率化ツールの導入による業務分散・自動化を進めることが重要です。これにより、業務負担のピークを平準化し、経理部門を健全に運営するための基盤が整います。

業務効率化ツールの導入状況と課題

勤務先で既に導入しているツールとしては、「会計ソフト」が90%以上の組織で導入されており、次いで「経費精算ソフト」、「請求書発行ソフト」、「電子帳簿保存ソフト」、「販売管理ソフト」、「請求書受領ソフト」が利用されていることがわかりました。

一方で、「導入したいのに導入できていない」理由としては、「導入にかかるコストが高いため(予算の都合)」が最も多く見られました。次いで「現在の業務でなんとか回っていると判断されている」「どのツールを選べばいいか判断が難しい」「導入検討に時間や人手を割けない」といった回答が多く見られました。

この結果は、経理業務の効率化が企業の生産性向上に直結するにもかかわらず、そのための初期投資が経営層から十分に理解・承認されていない現状を示唆しています。特に中小企業や、費用対効果が明確に見えにくいケースでは、高額なツールの導入はよりハードルが高くなります。また、目の前の業務をこなすことに精一杯で、将来的な効率化やリスク回避のための投資に目が向きにくいという、経理現場の忙しさも背景にあると考えられます。

業務を効率化できたエピソード

ツールを導入したいと思いつつもなかなか導入できていないという意見がある一方で、ツールの活用や既存業務の見直しによって業務を効率化できたエピソードも複数寄せられました。ここでは、そのうち代表的な10のエピソードをご紹介します。

請求書関連業務の大幅な削減

  • 「楽楽明細の導入は、かなりの業務軽減、経費削減になりました。とにかく得意先が多い、請求書の締日が毎月4回ある、封入作業を手伝ってもらうにも三つ折りが苦手、請求書の角印をまっすぐ押せない、などの問題を一気に解決してくれました。本当に助かります。請求書を調べる時も今までの紙保管のものを繰って調べなくてよくなったことや保管場所を確保しなくてよくなったこともとても助かりました。」
  • 「WEBで請求書が発行できるのは郵送の手間などは省け、改善につながった。」
  • 「請求書発行ソフトにより月末月初の残業時間が激減した。」

経費精算業務の効率化とペーパーレス化

  • 「楽楽精算を導入したことで現金精算が減少しました。また過去の記録等が残っている為、確認できるのが便利です。」
  • 「経費精算システム導入により全支店営業所の小口現金での精算と一部の普通預金口座を閉鎖し本社へ集約し、電子帳簿保存への対応もできた。」
  • 「楽楽精算の導入により本社側の一括精算が可能となり、各営業所への手許現金の廃止、経理担当者の削減に繋がった。」
  • 「経費精算ソフトを導入したことで、支払業務および仕訳業務の時間が大幅に削減できた。」
  • 「楽楽精算の導入で紙の請求書や申請書がなくなり、経理課内の業務時間が大幅に削減できた。」
  • 「クラウド経由で経費立替精算をすることで、テレワークでも領収書がタイムリーに確認可能になった。」

組織内の情報共有と協力体制の構築

  • 「ツール導入時に運用内容を見直しましたが、社内で情報を共有することによって、ほかのチームに協力してもらえることになり、効率があがりました。」

これらのエピソードからは、特定の業務に特化したツールの導入が、時間短縮やペーパーレス化、ヒューマンエラーの削減に大きく貢献していることが伺えます。また、ツールの導入だけでなく、それに伴う業務フローの見直しや、組織内での情報共有・協力体制の構築も効率化に寄与している点が注目されます。

特に、請求書や経費精算といった定型業務の自動化・効率化は、経理担当者の負担軽減に直結し、より付加価値の高い業務に時間を割けるようになる可能性を示唆しています。

まとめ

今回のアンケート調査から、経理担当者は多岐にわたる業務をこなしながらも、特に決算期や月初といった特定の時期に大きな負担を感じていることが明らかになりました。その主な原因としては、業務の属人化や社内からの問い合わせの多さ、慢性的な人手不足などが挙げられます。

一方で、会計ソフトや経費精算ソフト、請求書発行ソフトといったツールの導入により、既に業務効率化に成功している事例も見られました。しかし、導入には金銭的なコストが掛かることに加え、業務フロー変更に伴う社内周知が求められる点や、どのツールを選べば良いか判断が難しい点といった課題も存在します。

今後、経理業務のさらなる効率化を進めるためには、単なるツールの導入だけでなく、業務の属人化解消、社内全体の経理業務への理解促進、そして組織的なサポート体制の構築が不可欠であると言えるでしょう。

経理プラスとしては、引き続き経理職の皆様に役立つ情報や具体的な業務効率化事例などを提供し、より働きやすい環境づくりの一助となるよう努めてまいります。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2025年1月号:https://mic-r.co.jp/micit/2025/)より

著 者 経理プラス編集部

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