在庫回転率とは?計算方法と在庫管理の改善方法をご紹介

在庫回転率とは?計算方法と在庫管理の改善方法をご紹介

商品の流れを把握する在庫回転率について、耳にしたことがある方も少なくないでしょう。活用すると良いとは聞いていても、なんとなく在庫数を見ながらおおよその判断で進めている方もいるかもしれません。そこで今回は、在庫回転率について詳しくご紹介するとともに、回転率の計算方法、活用の仕方や改善するときの方法なども解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

在庫回転率を理解するための基礎知識

在庫回転率とは、主に小売りや卸業などで使われる機会が多いもので、「商品回転率」ともいわれています。小売業や卸業においては一定の在庫をストックしており、その在庫商品がどのようなペースで出ているかを数字として示したものが在庫回転率となるわけです。

一般的に、在庫商品は同じ商品ごとに保管、管理されており、よく売れるものは保管数が減っていきますので、不足しそうなときには補充発注を行うケースが多いでしょう。在庫不足かどうかは保管数でも把握できるため、発注の頻度と合わせて経験値を頼りにスムーズな在庫管理を行うことも決して不可能ではありません。

しかし、経験値だけでは、詳細なデータとして活用するには不足する部分があります。1年を通してどの時期が最も売れやすいのか、または、1ヶ月のうち、1週間のうちなど、より具体的に数字で比較できるのが在庫回転率なのです。

在庫回転率を知るメリット

在庫回転率を知ることで、次のようなメリットが考えられます。

売れている商品を知る

在庫回転率で売れ筋の商品を把握することができます。売れている商品をなんとなく把握するだけでなく、その商品が前月と比べてどれくらい売上げを伸ばしたのかなど、より細かく比較することが可能です。

年間を通して需要時期の予測ができる

一定期間で在庫回転率を把握しておくと、年間を通じて需要が高まる時期、落ち込む時期などがわかり、在庫確保の予測ができます。回転率が良い時期があっても、次月には一旦落ち着くということがわかっていれば、在庫発注を抑えるなど、過剰在庫も防げます。

在庫管理の効率化ができる

売れ筋商品になれば出荷が頻繁に行われますので、商品が取り出しやすいような場所で管理すれば、より効率的な流れをつくることが可能です。仕入から出荷まで一連の流れがスムーズになることで、人件費などを含めたコスト削減にもつながります。

在庫回転率の活用の仕方

在庫回転率が高いということは商品がよくまわっているということであるため、良い傾向であるといえます。数値から見えてくる企業の現状としては、回転率が高いと資本が効率よくまわりキャッシュフローもよいと判断できるわけです。

単に、数値を出すだけではなく、回転率が悪い場合はその要因をしっかりと把握して、改善策を考えることに活用できます。在庫商品の品ぞろえが悪いのか、在庫発注の頻度のバランスが悪いのか、または出荷が滞るなど物流が悪いのかなど、要因によって丁寧に対処することで健全な経営体質へとつなげられるでしょう。

在庫回転率の計算方法

次に、在庫回転率の計算方法を確認しましょう。計算には、「金額」と「数量」と2つの方法があります。

【金額で求める場合】

在庫回転率=期間中の出庫金額÷期間中の平均在庫金額

【数量で求める場合】

在庫回転率=期間中の出庫数÷期間中の平均在庫数

金額で求める場合、平均在庫金額は、一定期間の在庫の仕入れ額を平均したものになります。仕入額は変動することがあるため、平均値で算出します。また、出庫金額は売上高ではなく、売上原価を用いることが一般的です。

一般的に、数量で求める方が実態に近い在庫回転率を把握することができます。金額の場合は、一定期間内で仕入値が変わることもあるからです。数量は、単に数で比較できますので普段の取引感覚と近い結果が出やすいでしょう。

出庫金額に売上原価を用いる

在庫回転率を金額で求める際の「出庫金額」は、「売上高(販売価格)」か「売上原価(仕入価格)」のどちらかが用いられます。どちらを使っても間違いではないのですが、前述した通り「売上原価」を用いる方が一般的です。「売上原価」を用いる理由は、在庫回転率の分母にあたる「平均在庫金額」が「売上原価(仕入価格)」で計算されるためです。そのため、「売上高」を用いると分子と分母の単位が異なるので、実態と乖離してしまうのです。「売上原価」を使い、単位を合わせることでより実態に近い在庫回転率が算出できるので、こちらが一般的になっています。

在庫回転率の目安

在庫回転率は高いほど良いと判断されるわけですが、どのくらいの数値で判断できるのでしょうか。その目安を見ていきましょう。

在庫回転率判断の目安
5回以下不良在庫リスク、または回転率が著しく悪い商品
6~11回在庫管理の改善を検討
12~23回標準的な在庫回転率
24回以上回転率が高くよく売れている商品

上記は、おおよその在庫回転率の目安になりますが、業種によっても適切な在庫回転率が異なります。一括で大量仕入れを行う場合などは回転率が低くなりますので、一時的に大量に仕入をするものがある場合は、回転率の計算期間は年単位で、その他のケースでは計算期間を月単位で見ていくのが、より実態に沿った回転率の基準として判断できるでしょう。

在庫回転率を改善させるには

では、自社の在庫回転率が悪いと判断された場合、どのような改善策を講じれば良いでしょうか。

在庫回転率を定期的に確認する

在庫回転率は、定期的に算出して把握することが大切です。一度限りの数値では、その後の変化を把握することができないためです。改善前と比較して変化が表れているか、しっかりと検証してください。

在庫の見直しをする

回転率を参考に在庫商品の見直しをしましょう。そもそも不良在庫をそのままにしておいても良いのか、きちんと検討する必要があります。今までの慣例でなんとなく仕入サイクルに含めるということでは、いつもまでも改善できません。また、在庫発注の頻度も見直すことが大切です。シーズンによっての変動を把握して、無駄な仕入れを防ぎましょう。

在庫回転率の目標値をつくる

会社全体で活用するために、在庫回転率の目標値を設けると、全社的に目標に向かって動きやすくなります。一つひとつの業務においても意識できれば、モチベーションの維持もできて早期の改善につながるでしょう。

まとめ

今回は企業のコスト削減にもつながる在庫回転率について、回転率の計算方法や活用方法、回転率の改善のポイントなどについてご紹介しました。在庫は一度にたくさん発注しなければ大丈夫と、なんとなく流れの中で進めていることも少なくありません。仕入と売上のバランスを適正に保つために、在庫の流れを数字として正確に把握し、誰でも意識できるように効率的な活用に取り組んでみてはいかがでしょうか。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 渡部 彩子

渡部さんお写真w240h240

大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。