粉飾決算、その手口とは?

粉飾決算とは、企業が正しく自社の実態を反映させず、虚偽の内容に基づいて決算書を作成することです。このような行為はなぜ存在し、何を目的として、どんな手段で行われるのか、確認していきましょう。

 

企業には様々な利害関係者が存在する

粉飾決算は、企業の外部利害関係者を騙す目的で行われます。では、企業にはどんな利害関係者がいるのでしょうか。

  • 取引先
    売上先や仕入先など、様々な取引業者が存在します。
  • 株主
    株主は常に企業の業績を気にしています。上場企業であれば、業績悪化は株価の下落につながるでしょう。
  • 金融機関
    会社にお金を貸している金融機関も、企業業績を注視しています。
    業績が悪化すれば、新規融資取止め、既存融資の引き上げもありえます。
  • 課税庁
    法人税や消費税などは、決算書の内容に応じて課されます。

その他、内部関係者(役員や社員)も決算書の内容には注目をしていますが、粉飾決算に関して言えばここに挙げたような外部利害関係者を騙すことが主目的です。この粉飾決算には、2つの方向性があります。

 

業績を良くみせる粉飾

以下のような方法を使うと、企業の業績を過剰に良くみせることが可能です。

  • 売上の過大計上…ありもしない売上をでっちあげる
  • 費用の過少計上…発生している費用について隠す

粉飾というと難しそうですが、基本的な考え方は単純です。
架空売上の計上は、ありもしない取引先をでっちあげたり、関連企業を使って売上を作り出したりします。
費用の隠蔽では、本来であれば費用に該当するものを資産に紛れ込ませたり、本当は価値がない資産(塩漬けになっている土地や株式、各種投資案件など)について価値が保たれているように仮装したりします。近年話題になった大手企業を中心とした不正経理においては、この「損失の仮装隠蔽」という行為が多発しています。

これら業績を良くみせるための粉飾決算は、取引先や株主、金融機関に対して自社の状況を過剰に良くみせようとして行われます。ご説明の通り、業績の悪化は「取引の中止」「株価の下落」「融資の滞り」など、自社の事業に多大なる影響を及ぼします。これらの状況を避けるため、自社事業の好調を偽装するのです。この手の粉飾は、大手企業を中心によく行われています。

 

交通費・経費精算システム「楽楽精算」 交通費・経費精算システム「楽楽精算」

 

業績を悪くみせる粉飾

一方で、まったく逆の粉飾が存在します。自社の事業を悪くみせるには以下のような方法が考えられます。

  • 売上隠し…本来は計上されるべき売上を隠す
  • 費用の水増し…架空経費の計上など

売上隠しは、既に出していた請求書を隠したり、売上の入金先について社長個人の隠し口座を用いたりすることで行われます。
費用の水増しでは、架空の業者を用いて実態のない経費の作成、領収書の偽造や改ざんがよく行われます。また、本来であれば資産として計上されているべきもの(各種設備投資や在庫、繰延資産に該当するものなど)を費用として処理することにより、費用が大きく計上されます。その他、外部を巻き込んだキックバックを活用するなど、様々な手法が考えられます。

これら業績を悪くみせる粉飾の目的は脱税です。税金は、その企業の業績が良ければそれだけ高くなっていきます。粉飾決算により業績が悪化すれば、それだけ税金を減らせることになります。ですので、課税庁側はそのような脱税行為を許さないためにチェックをしています。「売上隠し」「資産隠し」といった辺りについては、税務調査でも入念にチェックされる部分です。

 

粉飾に対する代償は?

業績を良くみせる、悪くみせる。どちらの粉飾に関わったとしても、その代償は非常に大きいです。

大手企業を中心とした「好調を装う粉飾」については、近年においても多くの事例が発覚しています。特に近年で話題となっているのは大手電機企業における損失隠しでしょうか。
粉飾が発覚した後、企業グループの身売り、上場廃止の危機、取引の減少、金融機関からの厳しい条件提示、そして何より社会的信用な圧倒的な下落という、様々な影響が発生しています。また、もし株主や金融機関を中心とした関係者が刑事責任を問うようなことになると、この粉飾に関わった人々は刑事的な責任すら負う可能性が出てきます。ITバブル期に有名だった若手社長が、実刑を受けて収監されていたのを覚えている方も多いでしょう。

脱税についても同様です。課税庁側の調査により脱税が発覚した場合、当然に隠していた分の税金を支払うことになります。それだけでなく、相当に高額な罰金の支払いも命じられます。
また、場合によっては反面調査(取引先に対する調査)が行われることもあります。反面調査を理由に「あそこはどうも危ないらしい」という噂が業界で流れ、結果として事業が回らなくなった事例も枚挙にいとまがありません。また脱税額が大きい場合には、やはり刑事訴追される可能性もあります。

 

まとめ

粉飾決算には業績を良くみせるものと悪くみせるものがあります。良くみせるものは、好調を装って取引先や株主、金融機関を騙すことが目的であり、悪くみせるものは脱税が目的です。どちらの方向にしろ、粉飾には大きな代償が伴います。粉飾は関わった人の人生を大きく狂わせる麻薬のようなものです。経理担当者としては、絶対に関わらないようにしたいものです。

 

「経理プラス」メルマガでは、定期的に記事のランキングやおすすめ情報などをお届けしています。読み逃しがないよう是非ご登録ください!

「経理プラス」メルマガ登録は・・・ こちらから

 

経費精算システム「楽楽精算」

● 著者

高橋 昌也

高橋 昌也

高橋昌也税理士・FP事務所 税理士 1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。