預り金

預り金の英語表記

deposits received
 

預り金勘定の定義・意味・意義

預り金とは、役員、従業員、取引先などから一時的に預かった金銭で、後日その者に返金するか、本人または本人に代わって第三者に支払う金銭を管理するための勘定科目をいう。
預り金には、通常の取引に関連して発生する預り金で、発生後短期間に支払われるものの他、通常の取引以外の取引で発生したもので1年以内に返済されるものも含まれる。

 

預り金勘定の決算書における位置づけ等

貸借対照表>負債>流動負債>預り金
預り金はワン・イヤー・ルールが適用され、1年を超えるものは「長期預り金」や「預り保証金」の勘定科目で処理される。これらの科目は流動負債ではなく、固定負債である。

 

預り金勘定の範囲・具体例

・社会保険料預り金
役員、従業員が負担する社会保険料の預り金

・税金預り金
役員、従業員に支払った給与や税理士などに支払った報酬などから源泉徴収する所得税、住民税の預り金

・預り保証金
営業取引によって生じる営業保証金や入札保証金

・役員従業員預り金
役員、従業員の社内預金、身元保証金などの預り金

 

預り金の会計・簿記・経理上の取り扱い

金銭を預った場合は預り金勘定の貸方に記帳し、支払ったときには借方に記帳する。

取引と仕訳の具体例・事例

-取引 従業員の給与450,000円から、源泉所得税60,000円、住民税30,000円、健康保険料7,800円・厚生年金保険料11,800円(合計30,000円)を天引きし、当座預金から340,400円振り込んだ。

-仕訳

借方科目金額貸方科目金額
給料手当450,000当座預金340,400
預り金(源泉所得税)60,000
預り金(住民税)30,000
預り金(社会保険料)19,600

-取引 従業員の給与から預った源泉所得税800,000円と住民税600,000円を現金で1,400,000円納付した。
-仕訳

借方科目金額貸方科目金額
預り金(源泉所得税)800,000現金1,400,000
預り金(住民税)600,000

 

預り金の税務・税制・税法上の取り扱い

財務諸表等規則で、役員又は従業員からの預り金の金額が負債と純資産の合計額の1/100を超えるものについては、その内容を示す名称を付した科目をもって別に掲記しなくてはならないとされている。

預り金の納付時期

 源泉住民税・・・翌月10日
 源泉所得税・・・翌月10日
 社会保険料・・・翌月末日

源泉所得税の納期の特例

通常、源泉徴収をした月の翌月10日までに納付することが原則だが、特例として年2回にまとめて納付することができる。この特例が適用されるのは、給料等の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者で、事前に届出を出しているものに限られる。また、納付書は特例用のものを使用することとなる。特例が適用される場合には、1月から6月までの分を7月10日までに、7月から12月までの分を翌年の1月10日までに納付することができる。
住民税の特別徴収分についても同じ要件を満たせば納期の特例を適用することができ、その場合の納付期限は12月から5月分を6月10日までに、6月から11月分までを12月10日までとすることができる。
 

預り金でよくあるQ&A

年末調整をした結果預り金がマイナスになってしまったのですがおかしいのでしょうか?

おかしいと一概に言うことはできず、起こりうることです。預り金勘定がマイナスということは、源泉徴収し納付しなければならない金額以上に税務署に変わって従業員に還付をしているということです。そのため、税務署から返金してもらう必要があるのですが、通常は税務署からの返金ではなく、翌年1月以降に源泉徴収する分から差し引いて納付するので預り金がマイナスになってしまいます。マイナスを解消したい場合には差額を未収入金で処理してください。

預り税金と、預かり社会保険料の納付が遅れた場合どうなりますか?

預り金にはさまざまな種類があり、それぞれの支払いの時期が異なります。特に、源泉所得税、住民税、社会保険料は、その支払期日までに納付しないと、延滞税や不納付加算税といった附帯税を負担しなくてはならなくなります。そこで、項目ごとに補助科目を設けて、残高や期日を個別に管理したほうがよいです。また、源泉税の不納があった場合、自主的に納付したら5%が加算、税務署の調査で発覚した場合は10%が加算されます。

 

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