消費税仕訳作業の注意点

消費税の免税事業者でない限り消費税を申告納付しなければなりません。
消費税申告書を効率的に作成するために重要なことは、取引に基づき会計ソフトへ正確に仕訳を登録することです。
どのような取引の場合気をつけなければならないのか、押さえておきたいポイントを紹介します。

 

課税対象となる取引はどのようなものか?

まず取引の種類を知っておきましょう。
取引には課税取引・非課税取引・不課税取引・免税取引の4つがあります。
フローチャートにするとこのようになります。

消費税仕訳_フローチャート

次に取引形態が何であるかをまずチェックしましょう。
取引形態も「A:国内取引」「B:輸入取引」「C:国外取引」「D:輸出取引」の4つがあります。
 
判断要件が少ない順番で説明していきます。

C:国外取引・・・③不課税取引

原則、その取引が行われた場所が国外の場合の取引です。

No.6210国外取引:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6210.htm

D:輸出取引・・・④免税取引

商品の輸出や国際輸送、国際電話、国際郵便などの取引です。
消費税は、国内における商品販売やサービス提供などに課税されるもので、外国で消費されるものには課税せず、消費税が免除されます。
輸出免税の適用を受けるには、輸出許可書等の7年間保存する必要となります。

No.6551輸出取引の免税:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6551.htm

B:輸入取引・・・①課税取引、②非課税取引

保税地域※1から引き取られる外国貨物※2が①課税取引になります。
※1「保税地域」とは、輸出入手続きを行い、また、外国貨物を蔵置し又は加工、製造、
展示等をすることができる特定の場所。
※2「外国貨物」とは、外国から国内に到着した貨物で、輸入が許可される前のもの及び輸出許可を受けた貨物。

No.6563輸入取引:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6563.htm

ただし以下の4つの取引の場合、②非課税取引になります。

  1. 有価証券等
  2. 郵便切手類、印紙、証紙、物品切手等
  3. 身体障害者用物品
  4. 教科用図書

A:国内取引・・・①課税取引、②非課税取引、③不課税取引

以下の4要件をすべて満たす取引の場合、①課税取引となります。

  1. 国内取引である。
  2. 事業者が事業として行うものである。
  3. 対価を得て行うものである。
  4. 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供である。

この4要件を1つでも満たさない場合は、③不課税取引になります。

ただし上記取引でも以下の17の取引の場合、②非課税取引になります。

  1. 土地の譲渡及び貸付け
  2. 有価証券等の譲渡
  3. 支払手段の譲渡
  4. 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
  5. 郵便切手類、印紙及び証紙の譲渡
  6. 物品切手等の譲渡
  7. 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
  8. 外国為替業務に係る役務の提供
  9. 社会保険医療の給付等
  10. 介護保険サービスの提供
  11. 社会福祉事業等によるサービスの提供
  12. 助産
  13. 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
  14. 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
  15. 学校教育
  16. 教科用図書の譲渡
  17. 住宅の貸付け

それぞれに補足事項がありますので、詳しくは国税庁のサイトで確認してください。

No.6201非課税となる取引:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm
 

消費税引き上げに対する経過措置

平成26年4月1日に消費税が5%から8%に引き上げられました。
現在の予定では、平成29年4月1日に8%から10%に引き上げられます。
異なる税率の取引が混在することが考えられるため、仕訳を行う際にどの税率を適用するべきかを判断する必要があります。

ただし、契約日が指定日(平成25年10月01日)以前である、料金支払や目的物の引渡しや役務の提供が施行日(平成26年04月01日)をまたがるといったような取引は、改正前後どちらの税率が適用されるか注意が必要です。

  1. 旅費運賃等
  2. 料金支払いが施行日前で実際に利用するのが施行日後の場合・・・改正前税率

  3. 電料金等
  4. 利用開始日が施行日前で検診日が施行日後の場合・・・改正前税率

  5. 請負工事等
  6. 契約日が指定日以前で、引渡しが施行日後の場合・・・改正前税率
    契約日が指定日後・施行日前で、引渡しが施行日後の場合・・・改正後税率

  7. 資産の貸付け
  8. 契約日が指定日以前で施行日前に貸付けの場合・・・改正前税率
    契約日が指定日以後で施行日前に貸付けの場合・・・施行日前までは改正前税率、施行日後は改正後税率

  9. 指定役務の提供
  10. 契約日が指定日以前で一定の要件を満たすもの・・・施行前税率
    他にも事例が載っていますので、「 消費税法改正等のお知らせ」で確認ください。

参考資料:https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/201311.pdf
 

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会計ソフトの消費税処理の仕様を理解する

会計ソフトを利用している場合、消費税に関するさまざまなメニューが用意されています。
例えば「消費税科目別区分表」というメニューがあります。
「消費税科目別区分表」は申告時に提出する書類ではありませんが、勘定科目ごとに消費税処理の内容を確認できる資料となっています。

「消費税科目別区分表」の例

 勘定科目税区分税抜金額消費税
売上高課税売上 8%10,000 800
福利厚生費課税仕入 8%1,00080
保険料非課税仕入2,0000

このように勘定科目ごとに行われた税区分と消費額がいくらであるかが一目で確認できる表となっています
便利な「消費税科目別区分表」ですが、会計ソフトの仕様によって注意しなければならない点があります。

  1. 勘定科目で設定した税区分でしか登録できない場合
  2. 「福利厚生費」には「課税取引」と「非課税取引」があります。
    税区分設定が「課税仕入8%」の場合、自動的に課税取引として処理されます。
    「課税取引」と「非課税取引」で区別する場合、税区分を「非課税仕入」に設定した勘定科目を新しく追加する必要があります。

     勘定科目税区分税抜金額消費税
    福利厚生費課税仕入 8%1,00080
    福利厚生費-非課税-非課税仕入1,0800
  3. 補助科目ごとで税区分を設定できる場合
  4. 「健康診断料」は「課税仕入」、「保険料」は「非課税仕入」の福利厚生費です。
    それぞれの補助科目ごとに税区分を設定した場合、「消費税科目別区分表」をこのようになります。

     勘定科目補助科目税区分税抜金額消費税
    福利厚生費健康保険料課税仕入 8%1,00080
    保険料非課税仕入1,0800
  5. 取引に含まれる消費税計算を仕訳ごとで変更可能な場合

A.「税込金額から消費税を計算」

一行目消耗品費1,080
(うち消費税80)
現金1,080

B.「税抜金額から消費税を計算」

一行目消耗品費1,000
消費税 80
現金1,080

C.「消費税を計算しない」

一行目消耗品費1,000現金1,080
二行目仮払消費税80

AとBの仕訳は1行の仕訳の中に消費税が含まれて仕訳を登録しています。
Cの仕訳は消費税を別行で登録しています。

「消費税科目別区分表」はこのようになります。

 勘定科目税区分税抜金額消費税
福利厚生費課税仕入 8%3,000160
仮払消費税課税仕入 8%080

消耗品費3,000円に含まれる消費税総額は240円でなければおかしいですが、仮払消費税で別の行で仕訳をしたため、別けられて表示されます。

このような仕訳を登録している場合は、課税仕入の税抜金額に税率をかけた値と消費税合計額が一致しているか確認する必要があります。
 
これらの税処理方法は会計ソフトによって異なるので、どのような仕様なのかきちんと理解したうえで処理を行う必要があります。

 

まとめ

当たり前のことですが、日々の仕訳の登録時に間違いがないように起票しましょう。
そのためにそれぞれの取引について注意しなければならないポイントを押さえておきましょう。
ただ間違って登録してしまう事もあるので、会計ソフトに用意されている機能使って間違いがないか確認するようにしましょう。

 

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● 著者
小栗勇人

小栗勇人

1980年生まれ。上場企業と上場企業子会社で経理を10年経験。ExcelやAccessの活用、クラウドサービスの導入、社内基幹システムの構築など、経理業務だけでなく、会社全体を効率化させることを日々実践中。運営ブログ「経理と事務の効率化」をきっかけにExcelの本『経理の仕事がサクサク進むExcel超活用術』を出版。

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