資産除去債務とは何か?概要と仕訳の実例を紹介

資産除去債務とは、有形固定資産の取得等によって生じ、通常の使用の結果固定資産の除去に関して契約等で要求される法律上の義務です。
固定資産の除去とは、有形固定資産を用役の提供から外すことをいいます。具体的には、売却や廃棄、リサイクルなどの処分方法が考えられます。転用などは含まれませんし、有休状態になる場合も、含まれません。

 

資産除去債務とは何か?有形固定資産の除去とは

たとえば、定期借地権にかかる原状回復義務に関する資産がある場合、固定資産を使って費用計上して減価償却して終わり、というわけにはいきません。綺麗にして貸主に戻す必要があります。こういったときに、会計上は資産除去債務という勘定科目を使います。

つまり将来発生すると思われる資産の撤去や解体にかかる費用を見積もって、その見積額を現在の価値に換算した金額もってを資産除去債務勘定を使って計上します。反対側の相手の勘定科目は、該当除去にかかる有形固定資産の取得原価で処理します。資産と負債の両方を同時に計上するという特殊な会計処理を行うことも、特徴のひとつです。

資産除去債務は、将来的に発生する費用がどれぐらいになるのか、現時点では予想ができないという点が挙げられます。解体工事などをしたことがないビルなどの解体費用は、見積もりが完璧にはできないからです。なかなか実務上、難しい要素のひとつです。

 

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資産除去債務の具体的な仕訳方法は?

資産除去債務の、具体的な仕訳について実例とともにお教えします。

固定資産を1,000万円で購入したとします。
使用期間は3年です。機械を使用後に除去する必要があり、除去時の見積もり額は100万円でした。なお、割引率は5%とします。

固定資産を購入した時、仕訳は次のようになります。

 借方金額貸方金額
機械1,086万円現金1,000万円
資産除去債務86万円

これは、3年後に100万円を払うことになっているので、100万円÷(1.05)の3乗で86万円になるのです。
これが、購入時の仕訳になります。

決算の1年目は、1,086万円の機械を、3年で減価償却しますので、

 借方金額貸方金額
減価償却費362万円減価償却累計額362万円

となります。
帳簿価額は、決算時に時間が経過した増加分を、追加で計上しなくてはなりません。
割引率の5%を使用して、

86万円×0.05=4万円
となりますので、資産除去債務が

 借方金額貸方金額
利息費用4万円資産除去債務4万円

となります。この場合、利息費用は、”販売費及び一般管理費”に該当します。

続いて、2年目の決算を見ていきましょう。
(86万円+4万円) ×0.05=5万円
になります。

 借方金額貸方金額
利息費用5万円資産除去債務5万円

それにくわえて、減価償却も行います。
 借方金額貸方金額
減価償却費362万円減価償却累計額362万円

となります。
3年目も、同じ仕訳を行います。
 借方金額貸方金額
利息費用5万円資産除去債務5万円
減価償却費362万円減価償却累計額362万円

そしてここで、除去費用が、現金で110万円かかったとします。
資産除去債務は100万円と見積もったのに、実際には110万円かかったのです。
そうすると、

 借方金額貸方金額
資産除去債務100万円現金110万円
履行差額10万円

となります。
この履行差額は、損益計算書に、販売費及び一般管理費で記入します。

 

資産除去債務の会計処理はどのような経緯で導入されたか

資産除去債務は、負債として扱います。資産と負債が同時に出てくるので、とても複雑かつ特殊な仕訳となります。
決算書の、貸借対照表の負債のところに計上します。役割としては、買掛金や借入金など同じ、右側つまり貸方の負債の欄に入ります。

従来の会計処理だと、この110万円の除去費用が、修繕費用などにより一時点で計上されていました。ですが、国際財務報告基準では、資産除去債務の処理が規定されており、この処理によれば減価償却を通じて使用期間の各期へ案分されることになります。以上のように、国際財務報告基準に合わせることを目的として、日本基準にも資産除去債務が導入されたのです。

 

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