ケース別、連結納税制度の導入事例

新日本有限責任監査法人 ナレッジセンター・リサーチが、平成24年4月~平成25年3月期の有価証券報告書を対象に、連結財務諸表の作成のための基本となる重要な事項、重要な会計方針、追加情報の中から連結納税制度を採用している会社を調べ、【一覧】連結納税制度採用会社調査を2013年12月4日付で公表しました。

この調査によれば、連結納税制度を採用している会社は443社(調査対象全体の11%)、採用業種は電気機器66社、情報・通信と卸売がそれぞれ35社、非公開31社などとなっており、前年度より55社増加し、さらに次年度以降採用を予定する会社は40社となっています。

国税庁の統計情報によれば、平成24年の事業年度数合計の連結納税法人数は1,275社、その内利益638社(総額5,261,323百万円)、欠損637社(総額1,806757百万円)となっています。更に平成25年度では、法人数1,425社、うち利益819社(8,564,275百万円)、欠損606社(1,169,971百万円)であり、平成24年よりも法人数は170社増加しています。このことから連結納税制度は、有価証券報告書提出企業のみならず導入されていることが判ります。そして、600社を上回る連結納税法人にて欠損となっていることが判ります。

 

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ケース別、連結納税制度の導入事例

では、どのようなケースで連結納税制度が導入されたのかを見てみましょう。連結納税制度の導入事例は、その導入を支援した企業により公開されているものが多く、インターネット検索を行うとそれらを見ることが出来ます。つぎの事例は、それらの中から、参考になると思われる連結納税制度導入の目的を選び、公開されている情報の要旨を纏めたものです。その後、連結納税制度導入のための期間について見ることにします。なお、公開している導入支援企業の広告を目的としないため、曖昧な表現に留まるところがある点を予めご留意ください。

繰越欠損金の活用

これに関連する事例は多く見受けられます。持ち株会社である連結親法人の欠損を黒字体質の連結子法人の利益と通算することを目的とした事例、繰越欠損金制度見直しに合わせ連結納税制度を導入し繰越欠損金の有効活用を目的とした事例、などがあります。100%子会社ではないので連結子法人にできないが、赤字体質で多額の繰越欠損金を持っていた会社を連結子会社とし、その欠損金を活用した事例もあります。

繰延税金資産の計上

欠損金にたいする繰延税金資産はその実現性に疑義があり個別申告では計上することが困難であったが、連結納税制度導入により連結子会社の利益と合算することで、この計上を可能とした事例があります。この繰延税金資産の計上は、連結財務諸表上利益改善となるため、有価証券報告書提出会社にとって好ましい結果となります。

試験研究費の税額控除額拡大

連結納税制度の調整項目の中の試験研究費の税額控除を活用し、個別申告以上の税額控除を行った事例があります。ただ、試験研究に多額な支出を必要とする企業にのみ参考となる事例です。

ガバナンス強化と連結グループの経営戦略推進

この目的で連結納税制度を導入したとするいくつかの企業があります。上記3つの事例とは異なり連結グループ全体に対し連結納税制度を導入することでコーポレートガバナンスを強化し、更に経営戦略を推進するうえで法人税に対する影響を考慮することを主目的としている事例です。いわば経営上の目的を重視したということです。

 

連結納税制度導入に要する期間

次に、連結納税制度導入に要する期間を見てみましょう。
いくつかの企業が導入期間の例を、インターネットにて公開しています。連結納税制度導入の決定からスタートし、専用ソフトウエアの購入要否検討、複数の専用ソフトウエアのコスト・機能並びに既存システムとの連携を比較・検討、導入ソフトウエア決定、ソフトウエア導入、ユーザ教育、数回のトレーニングならびにシミュレーション、そして所轄税務署長経由で国税庁長官に連結納税制度導入の承認申請まで、約9ヶ月という例があります。専用システム導入のみとしては、最短3ヶ月という例があります。
いずれにせよ連結親法人の既存システム、連結子法人の数、連結納税制度の導入に割ける人員と時間等々で導入期間は左右されることになります。

 

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経費精算システム「楽楽精算」
● 著者
富永 和也

富永 和也

センチュリー監査法人(現、新日本監査法人)に勤務し、一般事業会社(電気関係・投資関係)・地方銀行・学校法人・労働組合(百貨店・商業関係)等の監査業務を担当。その後、個人事務所を開業。 一般事業会社・学校法人・公益財団法人等の監査業務、会社財産評価業務、内部統制の構築・点検、 記帳指導・税務代理申告等の税務業務、経営コンサルティング業務等を行い、現在に至る。



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