効率性分析とは?企業経営の「コスパ」を評価する手法

管理会計の代表的な分析手法の一つに、「効率性分析」があります。

効率性分析とは、事業の元手である投下資本(資産・負債)をどのくらい効率的に活用して、売上高や利益を生み出しているかを分析する手法の総称です。

小さい投下資本で大きな利益を生む事業の効率性は高く、大きな投下資本で小さな利益しか生まない事業の効率性は低いと評価します。

今回はこの効率性分析について、代表的な指標を参考にしながら詳しく見ていきましょう。

 

効率性分析とは何か

効率性分析とは、事業の元手である投下資本(資産・負債)をどのくらい効率的に活用して、売上高や利益を生み出しているかを分析する手法の総称です。

小さい投下資本で大きな利益を生む事業の効率性は高く、大きな投下資本で小さな利益しか生まない事業の効率性は低いと評価します。

投下資本をコスト、利益をベネフィットと見なせば、コストに見合うベネフィットが得られたかどうかを評価するコストパフォーマンスのニュアンスに近い概念といえます。以下では、効率性分析の代表的な指標を見ていきましょう。

 

総資本回転率

資産活用の効率性の総合的な指標が「総資本回転率」です。次の算式から求められます。

総資本回転率 = 売上高 ÷ 総資本

投下された総資本、すなわち総資産を有することにより、どれほどの売上高を獲得したかを見る指標です。

言い換えると、売上高獲得による総資本の回収スピードを測る指標です。この指標が高いほど、売上による総資本(総資産)回収のスピードが速いことを意味します。

単位は、一般的には年間当たりの回転数とします。また、分母の総資本算出にあたっては、期首・期末の平均値を用います。

 

売上債権回転率

総資本回転率は資産全体の活用度を示す指標ですが、資産を項目別に見ることによって、個々の資産の活用度を知ることが可能です。

まず、売上債権回転率と売上債権回転日数を見ていきましょう。それぞれの指標は、次の式で算出されます。

売上債権回転率 = 売上高 ÷ (売掛金 + 受取手形 + 割引手形)
売上債権回転日数 = (売掛金 + 受取手形 + 割引手形) ÷ 売上高 ÷ 365日

売上債権回転日数をみることによって、債権の回収に何日間を要するのかがわかります。この日数が長すぎる場合、資金の回収が遅いことから資金需要に応えられなくなるなどの問題が生じ得ます。

また、売上債権回転率に似た概念として、「手元流動性比率」が挙げられます。この指標によって、月間売上高の何倍の手元流動性を維持しているかを見ることができます。

手元流動性比率 = (現金預金 + 有価証券) ÷ 売上高 ÷ 12か月

 

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有形固定資産回転率・棚卸資産回転率

「有形固定資産回転率」「棚卸資産回転率」は次のように計算できます。

有形固定資産回転率 = 売上高 ÷ 有形固定資産
棚卸資産回転率 = 売上高 ÷ 棚卸資産

これらはそれぞれ、有形固定資産、棚卸資産が効率的に活用されているかどうかを測定する指標です。

たとえば、棚卸資産回転率が低下していれば、それは在庫水準が過剰になっていることのシグナルです。

棚卸資産については、365日を棚卸資産回転率で除すことによって、棚卸資産が1回転するのに必要な日数が求められます。これを「棚卸資産回転日数」といいます。

棚卸資産回転日数 = 棚卸資産 ÷ 売上高 ÷ 365日

 

仕入債務回転率

ここまで資産活用の効率性の指標を見てきましたが、同様に、債務活用の効率性の指標もあります。その代表格が、「仕入債務回転率」で、次の式で計算されます。

仕入債務回転率 = 売上高 ÷ (買掛金 + 支払手形)
仕入債務回転日数 = (買掛金 + 支払手形) ÷ 売上高 ÷ 365日

仕入債務回転日数をみることによって、債務の支払いを何日分繰り延べることができているかがわかります。この日数が短すぎる場合、資金の放出が早いことから資金繰りが苦しくなるなどの問題が生じ得ます。

 

生産性分析:労働生産性・設備生産性・労働装備率

ここまで、効率性分析の代表的な指標を見てきました。
効率性分析とよく似た概念として、「生産性分析」がありますので、あわせて紹介しておきます。

生産性分析とは、従業員1人当たり、あるいは機械当たりどのくらいの付加価値を生み出しているかを見る分析手法です。生産性分析の代表的な指標として、「労働生産性」、「設備生産性」が挙げられます。

労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数
設備生産性 = 付加価値 ÷ 有形固定資産

「労働生産性」は、従業員1人当たりの付加価値創出額です。また、「設備生産性」は、機械がどのくらいの付加価値を生み出しているかを示す指標です。分子の付加価値とは、企業の経営活動を通じて外部から購入した財・サービスの価値に新しく賦課した価値のことです。つまり、企業が新しく創造した価値です。

具体的には、企業が生産または販売した額から、それに関して消費された外部からの購入価額を控除したものとして計算されます。付加価値は、人件費、金融費用、賃貸料、租税公課、株主への配当、内部留保へと分かれていきます。

この他、「労働装備率」という指標も重要です。

労働装備率 = 有形固定資産 ÷ 従業員数

この指標は、従業員1人当たりにどの程度の設備投資がなされているかを表しています。資本集約的な産業ほど高くなる傾向があります。

以上に挙げた3つの指標は、次のような関係にあります。

労働生産性 = 設備生産性 × 労働装備率

すなわち、労働生産性は、設備生産性を上げるか、労働装備率を上げることによって上昇するということです。

 

まとめ

効率性及び生産性分析の代表的指標とその有用性を見てきました。

企業は、ヒト・モノ・カネなどの経営資源を投下して事業を営んでいます。投下した経営資源が、効率よく価値を生み出している状態を追求するための手法として、上に挙げたような効率性分析、生産性分析の有用性が感じていただけたかと思います。

消費者は、少ない支出でできるだけ大きなベネフィット・満足度を得ようと努力します。いわゆる、コストパフォーマンスの追求です。企業もこれと同じで、できるだけ少ない投入資源で、できるだけ大きな利益を得ようと努力しています。

毎月決まった給与を受け取る会社員を続けていると、時に見落としがちな効率性の視点。勤め先の事業の「コストパフォーマンス」向上に資する会社員であり続けたいものです。

 

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● 著者
田中 仁

田中 仁

大手総合商社にて10年間勤務し、新規事業開発を中心に資金調達、財務・会計等を担当。 東京のほか、アメリカのベンチャーキャピタルやイギリスの金融機関等にて勤務経験もあり。



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