平成28年度税制改正情報 -消費税・軽減税率編-

平成28年度の税制改正大綱が平成27年12月に公表されました。
今回は税制改正によって消費税の軽減税率とインボイス制度が導入される見込となりましたが、インボイス制度が導入されるまでの経過措置の扱いを中心にお話しをしたいと思います。

 

軽減税率制度の導入

(1)軽減税率制度

消費税の軽減税率制度を、平成29年4月1日から導入することとなりました。あわせて、複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)を平成33年4月1日から導入することとなりました。それまでの間については、現行の請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、区分経理に対応するための措置(区分記載請求書等保存方式)を設けることとなりました。

(2)軽減税率対象品目及び税率

軽減税率の対象となる課税資産の譲渡等(「軽減対象課税資産の譲渡等」)は次のとおりとし、軽減税率は6.24%(地方消費税と合わせて8%)となります。

①飲食料品の譲渡(食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く。)の譲渡をいい、外食サービスを除きます。)
②定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡

 

①の「外食」にあたるかどうかについては、いわゆるテイクアウト・持ち帰り・宅配については「外食」に該当しないとされており、今後実務上は判別の仕方が課題になります。

 

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インボイス制度までの経過的な取扱いについて

平成33年4月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)を導入することが前提とされていますが、それまでの間の経過措置については、以下のように定められましたが、かなり簡便的な方法も認められています。

(1)区分記載請求書等保存方式

適格請求書等保存方式が導入されるまでの間における仕入税額控除制度については、現行の請求書等保存方式を維持します。
ただし、課税仕入れが軽減税率対象品目に係るものである場合には、帳簿に記載されるべき事項として「軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨」を追加します。
また、課税仕入れが軽減税率対象品目に係るものである場合には、請求書等に記載されるべき事項として「軽減対象課税資産の譲渡等である旨」及び「税率の異なるごとに合計した対価の額」を追加します。
さらに、請求書への記載事項については、当該請求書等の交付を受けた事業者が事実に基づき追記することが認められています。

(2)売上税額又は仕入税額を簡便に計算

売上げ又は仕入れを税率の異なるごとに区分することが困難な事業者に対して、売上税額又は仕入税額を簡便に計算することを認める措置を講ずることとなります。平成29年4月から消費税を10%に引き上げるとなると多くの事業者でシステム対応等の遅れも予想されることか、かなり簡便な方法も認められています。

まず、売上を税率ごとに区分することが困難な事業者は、売上の一定割合(軽減税率売上割合)を、軽減税率対象品目の売上として税額を計算する特例が設けられました。
仕入の管理が出来るかどうかによって異なりますが、売上税額の簡便計算として、次の3つの方法が軽減税率売上割合の算出方法として認められます。

①軽減税率対象品目の仕入額÷仕入総額
②通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の売上高÷通常の連続する10営業日の売上総額
③50%

次に、仕入を税率ごとに区分することが困難な事業者が、仕入の一定割合(軽減税率仕入割合)を軽減税率対象品目の仕入として税額を計算できる特例が設けられました。
売上の管理が出来るかどうかによって異なりますが、仕入税額の計算の特例としては次の2つの方法が特例として認められます。

①軽減税率仕入割合=軽減税率対象品目の売上高÷売上総額
②簡易課税制度の適用が可能

売上税額や仕入税額の計算の特例は、軽減税率制度の導入から1年間は中小事業者以外、つまり大企業でも認められることとなっており、この点は非常に特徴的です。

平成33年4月から無事にインボイス制度が導入されれば、これらの簡便計算はなくなりますが、その動向に今後も目が離せないですね。

 

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経費精算システム「楽楽精算」
● 著者
中尾 篤史

中尾 篤史

CSアカウンティング株式会社専務取締役  公認会計士・税理士 日本公認会計士協会 租税調査会 租税政策検討専門部会・専門委員 会計・人事のアウトソーシング・コンサルティングに特化したCS アカウンティング㈱の専務取締役として、中小企業から上場企業及びその子会社向けに会計・税務のサービスをひろく提供している。 著書に「BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる」(税務経理協会)「たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる」(宝島社新書)「経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集 」(日本能率協会マネジメントセンター)など多数

CSアカウンティング株式会社

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